建設業許可申請業務完全マニュアル

建設業許可申請業務マニュアル:実務の全体像と手続きの鉄則(2026年度版)

 

このカテゴリーでは行政書士の定番業務である「建設業許可申請業務」について徹底的に解説します。
新人行政書士はまずこの業務をしっかりと勉強してください。

 

 

 

 

建設業許可申請は、行政書士実務の中でも難易度・報酬ともに高い「華」のある業務です。

 

しかし、法改正が頻繁に行われ、令和7年2月1日からは特定建設業の金額基準が引き上げられるなど、常に最新情報のアップデートが求められます。

 

本カテゴリー内の全18記事のエッセンスを、実務の流れに沿って整理しました。

 

 

許可の「入り口」:4つの区分を確定させる

 

 

申請の第一歩は、クライアントがどの許可を目指すべきか、以下の4軸でマッピングすることです。

 

業種:29業種から選択
実際に行う工事の内容に合致しているか?

 

管轄:知事許可 vs 大臣許可
営業所(契約を結ぶ場所)が「一県のみ」か「二県以上」か?

 

規模:一般許可 vs 特定許可
下請代金合計が5,000万円(建築一式8,000万円)以上か?

 

主体:法人 vs 個人
誰が許可を持つのか、法人成りの予定はないか?

 

 

許可を阻む「六大要件」の壁

 

 

許可取得には、以下の6つの要件をすべて同時に満たし、かつそれを書面で立証しなければなりません。

 

1. 経営管理能力(ケイカン)
5年以上の建設業経営経験を持つ役員等の配置

 

2. 社会保険加入
健康保険・厚生年金・雇用保険への適正な加入(ケイカンの常勤証明と直結)

 

3. 専任技術者(センギ)
営業所ごとの有資格者または10年以上の実務経験者の常駐

 

4. 誠実性
詐欺や不正、暴力団との関わりがないこと

 

5. 財産的基礎
一般なら500万円以上の資金力、特定なら自己資本4,000万円以上等の厳格な基準

 

6. 欠格要件
禁錮以上の刑や特定の罰金刑から5年経過していること(不許可時、手数料返金不可)

 

 

手続きの全体フローチャート

 

 

相談から許可取得まで、標準的な期間は知事許可で約2〜3ヶ月、大臣許可で約4〜5ヶ月を見込みます。
* 申請書類が行政庁に到達してから処分が出るまでの「標準処理期間」については⇒「建設業許可の標準処理期間のまとめ

 

(1)相談・受任
  ↓
(2)要件診断
  ↓
(3)六大要件を満たしているか確認
  ↓ 満たしていない場合
(4)要件改善のアドバイス(社会保険加入・増資など)
  ↓ 満たしている場合
(5)書類収集・作成
  実務経験の裏付け資料、契約書・通帳等の精査
  ↓
(6)申請・手数料納付
  ↓
(7)行政庁による審査
  ↓
(8)許可または不許可
  許可の場合→金看板の設置・営業開始
  不許可の場合→手数料没収・再申請検討

 

 

行政書士が守るべき「3つの鉄則」

 

 

@ 常に「裏付け資料(エビデンス)」から逆算する

 

 

クライアントが「10年経験がある」と言っても、それを証明する120ヶ月分の契約書や通帳がなければ、行政上はその経験は「ゼロ」です。

 

口頭のヒアリングを過信せず、現物資料を真っ先に確認してください。

 

 

A 特定許可の「財務」と「更新」に注意

 

 

特定建設業許可は、更新時にも厳しい財務4基準が求められます。

 

・自己資本4,000万円以上
・流動比率75%以上
・欠損比率20%以下

これら一項目でも欠ければ、更新できずに許可を失います。
税理士との連携が不可欠です。

 

 

B 改正法による「金額基準」の引き上げ

 

 

令和7年2月1日より、特定許可が必要な「下請代金の壁」が上がりました。

 

建築一式は8,000万円以上、その他は5,000万円以上となります。

 

これにより、従来は「特定」が必要だった規模の工事が「一般」でも可能になるケースがあります。

 

クライアントにとって最もコストパフォーマンスの良い許可形態を提案しましょう。

 

 

まとめ

 

 

建設業許可は、一度取れば終わりではありません。

 

5年ごとの更新、毎年の決算変更届、役員変更などの各種届出が必要です。

 

行政書士として、クライアントの「金看板」を生涯守り続ける伴走者となることが、この業務の最大のやりがいです。

 

以下の18記事を熟読し、建設業許可申請業務のエキスパートとして活躍してください!



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