行政書士職印作成の作法(サイズ、書体、品質、アタリ)

行政書士の職印作成の作法(サイズ、書体、品質、アタリ)


【目次】

 

前の頁で、
行政書士の印鑑(職印)を作成するにあたっての、
規則・会則上の規定について説明しました。

 

 

ですが、規定以外にも
気をつけなければならない「作法」が事実上存在します。

 

 

特に気を付けなければいけないのが、
職印のサイズ書体品質アタリです。

 

 

以下、順番に説明します。

 

 

行政書士の職印のサイズについて

 

 

結論から言います。

 

行政書士の職印のサイズは
所属する単位会(各都道府県の行政書士会)が認めているサイズの中で
最小≠フものを選んでください。

 

 

行政書士の職印のサイズに関する規定は、単位会毎に違います。
例えば、埼玉県行政書士会ではサイズは18oと指定されています。
入会予定の単位会のホームページや電話で確認してください。

 

 

特に指定がなければ、15mmを奨励します。

 

 

 

その理由は、バランスです。

 

 

 

押印する書類との関係で、
そして他の行政書士等との関係で、
職印のサイズが大きいとバランスが悪くなるのです。

 

 

例えば、領収書
各単位会は行政書士が利用すべき領収書を用意していますが、
その中の職印を押す欄は、たいてい20mm×20mmくらいです。
なので、大きい職印だと欄外にはみ出てしまいます。

 

たとえギリギリ収まる程度のスペースがあったとしても、
それでは職印を押すたびに慎重に枠内に収めなければなりません。
いちいち枠を気にしながら押すのでは、時間のロスも生じるし、ストレスにもなります。
職印は、行政書士を続ける限り、頻繁に押し続けるものです。
気にせずポン!ポン!と押せるような小さいサイズが最適なのです。

 

 

 

同様に、日本行政書士会連合会が用意する「職務上請求書」内の職印を押す箇所も狭いです。
21mm以上の職印だと、バランスが悪くなります。
15mmくらいが丁度いいのです。

 

21oと15oでは6oしか違わないじゃないか?
と思われるかもしれません。
しかし、実際に押印してみるとかなり違います。
18oと15oでも、違うのです。

 

 

 

さらには、公正証書遺言などのように他の行政書士と共同で職印を押印するような場合に、
24oの職印などを使っていたら、自分の職印だけがやたら大きくなってしまいます。
これは本当にバランスが悪い。
もう、本当にカッコ悪い。

 

実際に、24oのサイズの職印を持っている新人行政書士がいました。
「何様ですか?」って感じです。
本人にはそういった気持はないのでしょうが、
はっきり言ってみっともないのです。

 

何の実績もない新人が、
どこぞの大会社の社長が持っているようなでっかい職印を使っているのです。

 

 

これは本当に恥ずかしいことなので、絶対にやめておきましょう。
職印は小さいサイズに限ります。

 

 

 

態度は控え目。職印サイズも小さ目。
だけど、人格、スキル、職印の質は最高級。

 

 

これでいきましょう!

 

 

行政書士の職印の書体について

 

 

職印の書体に関しての規定は特にありません。
ですが、行政書士(に限らず士業一般)が使う先生印の書体は
伝統的に「篆書体(てんしょたい)」が選ばれることが多いのです。

 

 

 

   これが「篆書体」です
       ↓
    

 

 

 

「篆書体」が選ばれる主な理由は偽造防止です。
「篆書体」は複雑なので、他の書体に比べて偽造しにくいのだそうです。
また、「篆書体」には風格があると言われています。

 

まあ、他の書体でも、
そう簡単に偽造はできないだろうし、
風格がないという訳でもないとは思いますが、
多くの士業が「篆書体」を選んでいるという状況において、
あえて他の書体を選ぶ理由はないんじゃないかなと思います。

 

 

よって、私は無難に「篆書体」を選ぶことをお薦めします。

 

 

* 篆書体を奨励すると明記している単位会もあります(大阪府行政書士会など)。
* ちなみに日本銀行発行の紙幣に押されている印鑑の書体も「篆書体」です(偽造防止のためでしょうね)。

 

 

行政書士の職印の品質について

 

 

私はこのサイトを通じて一貫して、
「コストカットを重視すべきだ」
と、お伝えしています。

 

 

もちろん、サービスの質を保つことは成功のための絶対条件であり、
投資すべきところには投資しなければいけないのですが、
サービスの質を保てるのであれば、できるだけ費用を抑えるような選択をすべきです。

 

 

事務所、電話、ホームページ、名刺、書式、などなど
各ページにおいて、
顧客を獲得し顧客に満足してもらえるための最低限度のサービスの質を保てることを前提として、
費用を出来るだけ抑える方法をお伝えしてきました。

 

 

そうしないと、経営が軌道に乗る前に開業資金が底をついてしまい、
努力が報われる前に廃業せざるを得なくなるからです。

 

 

とにかく、コストカットは重要視すべきなのです。

 

 

 

なのですが・・・・

 

 

 

唯一の例外として、
職印」に限っては贅沢してもいいと、私は考えています。

 

 

「職印」は、それを押印さえすれば仕事は完成します。
なので「職印」の品質がどうであろうと、顧客には関係ないとも言えます。
しかし、それでも、「職印」の品質にはこだわるべきだというのが私の見解です。

 

 

その理由は、
「職印」は士業の命だからです。

 

 

大げさな話ではありません。

 

士業、特に行政書士は、書類を作成することが仕事です。
その書類は、誰が作成しても良いものではありません。
資格を持った行政書士だからこそ代行して作成できる書類なのです。

 

そして、その書類が価値を持つのは、必要事項を書き終えた時ではありません。
作成した行政書士が、その書類に職印を押した時に初めて価値を生じるのです。
職印を押すことによって、その書類に命が吹き込まれるのです。

 

また、例えばあなたの職印が他人に盗まれて勝手に書類に押印されたとしましょう。
その場合、あなたがその書類について責任を負うことになります。
職印は士業の分身なのです。

 

 

だからこそ、職印は特に大切にしなければいけません。
繰り返しますが、職印は行政書士にとっての命なのです。

 

 

なので、
職印には、行政書士を一生の仕事と決めた自分の情熱を込めて
それなりに高品質のものを作るべきなのです。

 

 

といっても、1万円も出せば、十分高品質の職印を作れます。
ホームページ作成に何10万円もかけるのは馬鹿げていますが、
職印に1万円かけても、事務所経営に支障はでないでしょう。

 

 

また、職印は行政書士を続ける限り、ずっと使い続ける物です。
当然、耐久性に優れたものでなければいけません。
安い職印を使っていて、欠けたりしたら、
また作りなおさなければいけませんし、登録もやり直しです。
そう言う意味でも、品質は大切です。

 

 

また、印鑑の品質は、パッと見てわかります。
とくに同業者や他の士業、会社経営者などは、結構、人の職印を見ているものです。
そこで、もしあなたが安っぽい職印を使っていたら、
仕事に対する姿勢も安っぽいという印象を持たれかねません。
仕事を依頼しよう、一緒に仕事をしよう、という気持ちを萎えさせる可能性もあります。
そういうものなんです。

 

 

上記したように、職印のサイズは小さくあるべきですが
品質は高い方が、絶対に印象が良いのです。

 

こだわりましょう。

 

 

具体的には「黒水牛・特上
又は、それ以上のものをお薦めします。

 

 

職印のアタリについて

 

 

アタリ」とは、印鑑の側面についている小さな突起であり
押印の際に上下を間違えないためのものです。
(アタリがついている方が上です)

 

 

 

 

行政書士の職印作成の作法(サイズ、書体、品質、アタリ)

 

 

 

 

大変便利なものなのですが、
各士業の先生の中には、
あえて「アタリ」がついていない職印を使っている方々がいらっしゃいます。

 

 

その理由は「押印に慎重を期すため」です。

 

 

 

士業が押印する書類は重要なものが多いです。

 

ですから、
「本当に押して大丈夫か?」
と、その都度しっかり確認したうえで押印しなければいけません。

 

そこで、
あえて職印にアタリをつけず、
自分の目で上下を確認する作業をして、
気を引き締めて押印するようにしていらっしゃるのです。

 

 

 

その姿勢は、本当に尊敬すべきであり、
頭が下がる思いです。

 

 

なのですが・・・・

 

 

 

悪いことはいいません。

 

アタリ有り」の職印を作りましょう。

 

 

 

 

確かに、押印は慎重にしなければいけません。
不用意に押してトラブルを起こしたら大変なことになります。
「押印して大丈夫だ」と明確に判断できるまでは、
決して職印を押してはいけないのです。

 

 

ですが、それは押印する直前に判断することではありません。
書類を精読し、内容を十分に理解した段階で判断することなのです。

 

アタリが無いことがきっかけとなって押印の直前にその判断が変わる、
というものではないのです。

 

 

ぶっちゃけて言えば(大きい声ではいえませんが)・・・
「士業の印鑑はアタリが無い方がカッコいい」
と言う程度のものではないかと思います。

 

 

アタリが無いからと言って、判断が慎重になるという効果はないはずです。
むしろ、アタリが無いために上下を間違えて押印することの方がよっぽどカッコ悪いです。

 

いや、カッコ悪いどころが、書類を作りなおさなければいけないので、
自分の仕事が増えるだけでなく、依頼者や共同作成者に迷惑をかけることにもなります。

 

 

それに、実際には領収書等、日常的に押印しなければならない書類も多いので、
いちいち押印の度に目で上下を確認していたら、非効率極りません。

 

 

もう一度言います。
変にカッコつけず、「アタリ有り」の職印を作成しましょう。

 

 

まとめ

 

 

職印のサイズは単位会が認めているサイズで最小のものを選ぶ。
特に指定がなければ15oにすべき。

 

 

職印の書体は「篆書体」

 

 

職印の素材は高いものを選ぶ。
「黒水牛・特上」以上のもの。

 

 

職印は「アタリ有り」にすべき

 

 

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