新人行政書士の取扱業務の決め方

新人行政書士の取扱業務の決め方

 

 

 

結論から言いましょう。

 

開業直後の新人行政書士は
いわゆる行政書士の基本業務≠ニ言われるものの全てを取扱業務とすべきです。

 

そして、将来的には
取扱業務の数を徐々に減らし、柱とする業務をいくつかに絞り、
特定の業務に特化した専門性の高い事務所に育てていく事を目指して下さい。

 

 

以下、その理由をお話ししていきます。

 

 

理想は業務特化型の行政書士事務所

 

 

目指すべきは、特定の業務に特化した行政書士事務所です。

 

 

その理由は二つ

 

 

@ 客から信頼されやすい(集客しやすい)

 

A 行政書士自身のスキル・作業効率が高まる

 

 

です。

 

 

 

業務特化型事務所は客に信用されやすい

 

 

例えば、離婚協議書の作成を行政書士に依頼したいと考えている見込み客Aがいるとします。

 

そして、Aさんが住んでいる地域にB行政書士事務所とC行政書士事務所があるとします。

 

B行政書士事務所は離婚に特化した行政書士事務所です。
一方、C行政書士事務所は離婚のみならず相続、会社設立、各種許認可等、行政書士の基本業務を幅広く取り扱っています。

 

 

この場合、Aから選ばれやすいのは、やはり離婚を専門にしているB行政書士事務所です。

 

Aは「離婚」という問題に直面しているわけですから、
その問題に特化している行政書士の方を信用しやすいのです。

 

 

もちろんこれは「離婚」という問題に限ったことではありません。
行政書士を探している見込み客は、何らかの問題、悩みを抱えている層です。
この層は自分が抱えている問題だけにしか関心がありません
だから、その抱えている問題に特化した行政書士に頼りたくなるものなのです。
(肉も魚も野菜も欲しい、というスーパーマーケットの客とは根本的に違います)

 

 

多くの業務を取り扱った方が多くの層から仕事を受注でき収益は上がる、
と考えてしまうかもしれませんが、
それは違います。

 

何でも屋≠フ行政書士は、強み≠ェないので(客にはそう見えるので)、
結局、取り扱っている業務全てについて、それぞれの業務に特化している行政書士事務所に
負けてしまうのです。

 

 

競争が激化している士業のマーケットでは、
特定の業務に特化しなければ、勝ち残るのは難しいのです。

 

 

 

行政書士自身のスキル・作業効率が高まる

 

 

様々な業務を取り扱っている行政書士は、様々な業務をこなさなければいけません。
当然ですが、業務ごとに要求される知識、経験は違います。
手を広げている分、それぞれの業務のスキルを向上させるにも長い期間を要しますし、
作業効率も悪くなります。

 

しかし、
特定の業務に絞って営業している行政書士であれば、その特定の業務しか受任しないので、
スキルアップのスピードも当然速くなりますし、作業効率も高くなります。

 

その結果、仕事の完成度も高くなり、顧客満足度も上がります。

 

 

つまり、業務特化型事務所にした方が、
顧客にとっても行政書士自身にとってもメリットが大きいのです。

 

 

 

とは言うものの・・・

 

 

 

事務所開業時はなんでも屋行政書士≠ノならざるを得ない

 

 

行政書士事務所の名前の決め方」のページでもお話ししましたが、
何の経験もない開業したての新人行政書士がいきなり何らかの業務に特化しても
失敗する可能性が極めて高いのです。

 

 

行政書士事務所経営で成功するためには、
他の行政書士、他の士業との競争に勝たなければいけません。

 

例えば、あなたが「相続」の分野に特化するのであれば、
あなたの営業エリア内で相続を取り扱っている士業事務所との競争が始まるのです。

 

 

もちろん、開業時から「相続」に特化すると決めて事務所を立ち上げた行政書士は、
事前に市場調査を入念に行い、勝算があると判断したからこそ、そうしたのでしょう。
参照→「AIを使え!新人行政書士は開業前に必ず市場調査をして取扱業務を決めましょう

 

しかし、計算通りに上手くいくことは通常ありません。
ビジネスには不確定要素があまりにも多いからです。

 

 

このサイト全般を通してお話ししていますが、
新人行政書士の事務所運営は、最初は「人脈」に頼らざるを得ない面があります。

 

新人行政書士は事務所開業後、様々な交流会、懇談会等に出席して
同業の先輩行政書士や他士業、他の業界の経営者等と知り合いになる努力をします。
少しずつ人脈を育てていくのです。
そして、育っていった人脈からお客様を紹介して頂けるようになるのです。

 

でも、そこで紹介してもらえるお客様が「相続」の問題を抱えている層とは限りません。
飲食店を開業しようとしている人かもしれませんし、
交通事故の被害者となった人かもしれません。

 

あるいは、建設業界に太い人脈を持っている経営者と知り合い、
その人があなたの事を気に入ってくれるかもしれないのです。

 

 

確かに、「相続」と決めてその専門書ばかりを読み込んでいれば、
「相続」に関する表面的な知識は増えるでしょう。
でも、どんなに勉強しても、実際に仕事が来なければスキルは身につきません。

 

一方、コツコツと人脈作りに励んでいたら、少しずつですけれども確実に人脈は育っていきます。
しかし、どんな客層の人脈が育つかは、それはやってみなければわかりません。

 

つまり、どんな仕事が獲得しやすいかは、実際にやってみなければわからないのです。

 

だから、最初は基本業務全てを取り扱い、依頼があった仕事は全てこなす、というスタンスで行くべきなのです。

 

 

極めて非効率です。
でも、
開業したばかりの新人行政書士がいきなり効率の良い事務所運営などできるはずがありません。

 

寝る間も惜しんでがむしゃらにやるしかないのです。
行政書士に限った話ではありません。
どんなビジネスでも同じこと。
開業して経営が軌道に乗るまでは死に物狂いで働くしかないのです。

 

その覚悟がないのであれば、行政書士事務所開業などやらない方がいいです。
どうせ廃業しますから。

 

でも、業種を絞らずに一生懸命にやっていたら、必ず方向性が見えてきます。
育っていく人脈にもはっきりとした傾向が出てきます。
(類は友を呼ぶ。ある問題を抱えている人の周りには同じ問題を抱えている人が大勢います)
また、同じ業種で競合しているライバル達の真の実力(特に集客力)も見えてきます。
さらに、実際にさまざまな業務を経験することで、自分にとっての向き不向きもわかってきます。

 

そうやって
様々な実務経験を積んでいきながら、自分が専門とすべき業務を絞っていけば良いのです。

 

 

ほとんど依頼が来ない業務は切り捨てましょう。
好きな業務でもライバルが強すぎるのなら撤退しましょう。

 

人脈が太く育っている属性への業務には注力しましょう。
時代の流れで需要が高まりつつある業種には挑戦しましょう。

 

 

様々な業務を取り扱う→実践、検証→専門を絞る

 

 

急がば回れ≠ナす。
長期的な視点で経営戦略を組み立てましょう。

 

 

 

お客様の前では業務特化型の行政書士≠ノなる

 

 

新人時代は何でも屋≠フ行政書士になれ、と言いました。
しかし、何でも屋≠セと客から選ばれにくい、とも言いました。

 

 

そこで、お客様から選ばれる何でも屋≠ノなる必要があります。
方法はあります。
それは、属性に合わせて業務特化型≠フ行政書士であるように見せることです。

 

 

具体的には、「業務特化型名刺」と「業務特化型ホームページ」というツールを使います。

 

詳細は、それぞれの頁に書いてありますが、
要するにこの二つのツールを使って、
ある特定の悩み、問題を抱えている属性に対して、
その問題を解決できる業務に特化した行政書士であることをアピールするのです。

 

これはもう本当に効果絶大です。

 

稼いでいる行政書士は皆やっている手法です。
そして、新人でもできる(というか、新人だからこそやらなければならない)営業方法です。

 

 

ぜひ、挑戦してください。

 

 

 

まとめ

 

 

新人時代は行政書士の基本業務の全てを取り扱う

 

やがて、稼げる業種とそうでない業種がわかってくる

 

将来的には稼げる業種だけに絞り、業務特化型行政書士を目指す

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