【AI使え!】新人行政書士は開業前に必ず市場調査をして取扱業務を決めろ!
【目次】
↓ 動画でも解説しています ↓
開業前の市場調査の必要性
行政書士として独立開業する場合、まずは取扱業務を決めます。
私としては、最初は行政書士の基本業務の全てを取り扱うことをお勧めしています。
ビジネスは不確定要素の中での戦いなので、
どの業種が伸びるかはやってみないとわからないことが多いからです。
しかし、中には最初から特定の業務に特化して事務所を開業しようとされる方もいます。
それはそれで良いと思います。
ただし、最初から業務を絞って開業する場合、
その前に必ずやらなければいけないことがあります。
それは「市場調査」です。
もちろん、業種を絞らずに開業する場合も、市場調査はすべきです。
しかし、特化型の開業の場合、その重要度が変わってきます。
つまり、勝てるという「確証」が持てるまで徹底的に市場調査しなければならないのです。
確かに、業種を絞って開業した場合、当たればでかいです。
一気に成長します。
でも、逆に、その業種でコケてしまったら他に収入源はないのです。
だから、絶対に失敗は許されません。
「この市場なら勝てる」という確証を得られるまで、徹底した市場調査が必要になるのです。
市場調査で確認すべき二つの点
市場調査において、必ず確認しなければいけないことが2点あります。
@ 需要がある市場か?
A 競合相手と戦って上位2割に入り込めるか?
この二つです。
(1)市場の需要の大きさを調査しなければならない理由
需要が少ない市場に特化して参入すると、どんなに頑張っても大きく稼ぐことはできません。
ここで間違えたら、その時点でアウトです。
例えば、大きな需要がある例としては、建設業許可申請。
建設業許可申請業務専門で開業した場合、当たれば大きく稼げる可能性はあります。
一方で、ほとんど需要がない業種としては、例えば、船舶局の免許申請。
船舶局の免許申請専門で開業したら、それだけで食っていくことは非常に難しい。
そもそものお客様の絶対数が少ないのです。
魚がほとんどいない海に釣りに行ってしまったら、どれだけ粘っても釣れません。
また、需要がどれだけあるかは、業種だけで決まるものではありません。
地域によっても異なります。
自分の営業エリアでどれくらいの需要があるかを調査することも非常に重要です。
(2)競合相手と戦って上位2割に入り込めるかを調査しなければならない理由
「パレートの法則から考える行政書士は食えない説」で詳しく説明しましたが、
たとえ需要が大きい市場に参入しても、その需要が全員に平等に分配されることはありません。
上位2割の強者が、その需要の約8割を持っていきます(パレートの法則)。
つまり、下位8割の行政書士は残りものの需要を拾っていくしかないのです。
正直言って、これでは食っていくことは困難です。
なので、需要が大きい市場であっても、その市場にいる競合士業を徹底的に調査して、
その中で上位2割に入れるかどうかを検討しなければいけません。
ここを検討している新人行政書士は少ないと思います。
需要の大小を調べる新人はいますが、その市場でのライバルを徹底的に調べて参入してくる新人は少ない。
だから、失敗するのです。
需要はあるのだから自分にも回ってくるはず・・・
甘い!
ビジネスはシェアの奪い合いです。
強者は全てを持っていこうとします。
サラリーマン社会のようにできない社員にも給料が配られる甘い世界ではないのです。
だから、ライバルを徹底的に調査して、
本当にこの中で上位2割に入れるのかを調べる必要があるのです。
市場調査の具体的なやり方
以上のように、市場調査においては、
@需要がある市場か?
A競合相手と戦って上位2割に入り込めるのか?
この2点を調査しなければいけません。
では、どうやって調べればいいのか?
その具体的な方法を説明していきます。
(1)需要がある市場かどうかの調べ方
令和5年以前は、市場調査はマーケティング会社に調査を依頼するしか方法はありませんでした。
しかし、費用が高い・・・
個人開業の行政書士でマーケティング会社に調査を依頼する人なんてほとんどいなかったはず。
10数年前に開業した私も、もちろんしていません。
ただ、私の場合は、最初は行政書士の基本業務をすべて取り扱うという形で開業したので、
ギャンブル的な開業にはなりませんでした。
しかし、特定の業務に特化して開業していたら・・・廃業していたかもしれません。
市場調査もせずに業務特化の開業をすることは、それくらいのリスクがあるのです。
しかし、今はAIがあります。
AIを使って市場調査ができるのです。
では、その手順を説明します。
まずは「Genspark」というAIでアカウントを作ります。
「Genspark」は様々な分析をしてくれるAIです。
分析に関していえばChatGPTの性能を遥かに上回ります。
アカウントの作り方は複数ありますが、ご自身のGoogleアカウントでログインするやり方が一般的です。これでアカウントができます。
なお、「Genspark」は2024年9月の時点では無料で使えます。
しかし、いずれは有料になるはずです。
「有料になったら使わない」という人は経営者としてのセンスがありません。
そして、検索窓に3つのワードを入力します。
@ 業種
A 営業エリア
B 市場調査
例えば、名古屋を営業エリアとして、入管に特化して行政書士事務所を開業したいと考えている人であれば、以下の3つのワードを入力してください。
@ 入管
A 名古屋
B 市場調査
これを入力して実行ボタンを押せば、AIが最新情報に基づいて市場調査をしてくれます。
はい、こんな感じでざっくりとした市場調査結果を出してくれます。
さらに、深掘りしていくこともできます。
下にスクロールすると、より詳細な調査結果が出力されています。
そして、タイトルをクリックすると・・・
より詳細な調査結果がでてきます。
入管業務の需要は一般的には増加傾向にありますが、名古屋もその例外ではないことがわかります。
そして、名古屋の場合、国籍では「中国」、資格では「永住者」が最も多いですね。
だとしたら、ここに注力して競合に勝てれば大きく稼げることがわかります。
具体的には「中国」「永住者」に関連するキーワードでブログ記事を大量に積み重ねていく、といった戦略が立てられますね。AI翻訳を使って、母国語の記事まで作れば完璧ですね!
これで終わりではありません。
さらに気になる点、調べたい点があればいくらでも個別の質問ができます。
AIが相手なので、納得いくまで徹底的に調査させることができます。
使い放題です。
もうマーケティング会社必要ないですよね?
もちろん、一流のマーケティング会社であれば、「Genspark」を使った調査よりもクオリティーの高い調査結果を出してくれるとは思います。
しかし、費用は桁違いです。現実的に利用できる会社ではありません。
逆に、手を出せそうな費用の会社であれば、インチキ臭いところも多いです。
信用できるかどうかを見分けることは外部の人間にはできません。
でも「AI」を使えば、いわゆる最大公約数的な回答を出してくれます。
信用できます。
行政書士業界の市場調査であれば、とりあえずはこれでOKです。
しかも、数時間でできます。それも何回でもできます。
市場は生き物なので、時間が経過すれば状況も変わります。
だから、定期的に調査すべきだし、そして、できます。
AIを使えば、いつでも、どこでも、短時間で、市場調査ができるのです。
これをやる行政書士。
やらない行政書士。
どれだけの差がつくか、容易に想像できますよね?
(2)競合相手の調べ方
競合相手の調べ方も、リアル調査とネット調査があります。
リアル調査をしようとなると、マーケティング会社に調査を依頼するしかありませんが、
費用がかかりすぎるので個人事務所が選べる手段ではないでしょう。
なので、ツールを使ってネット調査します。
使うツールは「ラッコキーワード」
「ブログ作成マニュアル」でも紹介したツールなので、すでに使っている方も多いかと思いますが、このツールは市場調査でも使います。
なお、私が開業した時は「ラッコキーワード」はなかったのですが、似たようなツールで調査しました。
情報の精度は今よりも劣っていましたが、それでもやってよかったです。
では、さっきと同様に、名古屋を営業エリアとして、入管に特化して行政書士事務所を開業したいと考えている人を具体例として考えていきます。
まず、ラッコキーワードの検索窓に「入管」と入力して検索します。
つまり、業種を入力して検索する、ということです。
すると、入管の見込み客が検索するキーワードが大量にでてきます。
この中に、入管の見込み客が抱えている具体的な悩みが大量に含まれており、
見込み客はこのワードでネット検索をします。
つまり、これは入管業務の集客ワードのリストというわけです。
稼いでいるライバル事務所は、これらのワードから集客しています。
では、例えば「入管 ビザ申請」という集客ワードがありますね。
このワードで上位表示されている事務所は相当稼いでいます。
そこで、次に、「集客ワード + 営業エリア」で、Google検索します。
つまり、上記の例で言えば「入管 ビザ申請 名古屋」で、Google検索するのです。
すると、ライバル事務所のホームページがずらずらとでてきます。
1位から3位あたりは、だいたい行政機関のサイトになりますが、
4位あたりくらいから行政書士事務所のホームページが出てきます。
これらの行政書士事務所のホームページを最低でも10個はチェックします。
- コンテンツの質(情報の具体性や有用性、説得力、ターゲット層に合わせた内容かどうか)
- 専門分野の明確化(建設業許可、入管、相続など、得意分野が明確に打ち出されているか)
- 実績の見せ方(具体的な案件数や成功例、クライアント数など)
- お客様の声(実績や信頼性を確認できる、顧客の満足度や推薦文)
- FAQ・よくある質問(ユーザーの疑問に対して、事前に解決策や回答をわかりやすく提示しているか)
- 報酬額(競合と比較して競争力のある価格設定か、サービスの内容に見合った料金か)
- サービス提供範囲(全国対応か、特定地域のみの対応か、オンライン対応が可能か)
- 問い合わせのしやすさ(問い合わせフォームやチャットが使いやすく、問い合わせのハードルが低いか)
- 対応時間やレスポンスの速さ(迅速な対応が可能であるか、営業時間が柔軟か)
- メディア掲載実績(メディアやニュースで取り上げられた実績があるか、信頼性を高める要素があるか)
- 従業員の数と質(有資格補助者、通訳など)
- その他の差別化要素
このような点を細かくチェックしていきます。
そしてチェックした結果は、エクセルでまとめます。
一度読んだだけでは忘れてしまいます。
後から全ての情報を分析できるように、必ずエクセルで整理してください。
「入管ビザ申請 名古屋」のキーワードのライバルチェックが終わったら、
他のワードのライバルもチェックしていきます。
例えば、
「入管 委任状 名古屋」
「入管 家族滞在 名古屋」
「入管 研修 名古屋」
などなど。
重要と思える集客ワードは全てライバルチェックします。
そして、これらの作業が終わったら、もう一度ラッコキーワードに戻ります。
次は、「在留資格」で検索します。
すると、在留資格に関する集客ワードが大量に出てきます。
そこで、これらの集客ワードで稼いでいるライバルサイトをチェックしていきます。
結果はエクセルにまとめます。
次は、ラッコキーワードで「外国人雇用」に関する集客ワードを洗い出します。
そして、それぞれの集客ワードで稼いでいるライバルサイトをチェックしていきます。
次は、「永住許可」に関する集客ワードを洗い出します。
そして、それぞれの集客ワードで稼いでいるライバルサイトをチェックしていきます。
次は、「国際結婚」に関する集客ワードを洗い出します。
そして、それぞれの集客ワードで稼いでいるライバルサイトをチェックしていきます。
このように、入管に関する主要な集客ワードは全て洗い出します。
そして、それぞれの集客ワードで現時点で現実に稼いでいる主要なライバルサイトをそれぞれ最低でも10個はチェックしていきます。
そして、考えるのです。
このライバル達に自分は勝てるのか?
上位2割に入り込むためには、具体的に何をすればよいのか?
ざっくりとした目安を言いますね。
どんな業種、どんなエリアでもそうですが、
大量の集客ワードをチェックしていくと、何回も見る事務所、何回も出てくるサイトがあります。
これはその市場のトップ層です。ここにいきなり勝つことは無理です。
次に、「時々でてくるな、なんか知らないうちに覚えてしまったな」という事務所があります。
これが上位20%に入っている事務所だと考えましょう。
ざっくりとした目安にはなりますが、このように考えていいと思います。
そして、このラインにいる事務所に勝てるのか、具体的にどうすれば勝てるのかを考えるのです。
その結果、「勝てる」という確証が得られたのであれば、業務特化で開業して良いでしょう。
市場調査をせずに開業する行政書士の末路
以上が、開業前の市場調査の具体的な手順です。
しかし、すでに述べたように、市場調査すらせずに開業する行政書士が非常に多いです。
ナメてんの?って話ですよ。
確かに、起業にはリスクがあります。
独立するのであれば、リスクを背負う覚悟が必要です。
なぜなら、ビジネスは不確定要素の中での戦いだからです。
例えば、
十分に市場調査をしたうえで名古屋で入管に特化して開業した行政書士がいるとします。
確証を得るまで徹底的に調べ上げたうえで開業したので、その後順調に売り上げを伸ばし、
3年目には地域でトップクラスの事務所にまで成長したとします。
しかし、4年目に、大手の入管特化行政書士事務所が支店を出してきた、
あるいはパンデミックが起きて外国人の入国制限が始まった、
などといった事態になって売上が激減してしまった。
といったこともあります。十分にあり得ます。
これがビジネスの怖さです。
でも、それはある意味仕方がない。
不確定要素は予測できないので、市場の急激な変化に対応できないのはある意味仕方がないとも言えます。
しかし、開業時点での市場の状況は調査できますよね?
開業時点でのライバルも調査できますよね?
調査できるものすら調査せずに開業するって、
それギャンブルですよ。
調べれば分かることすら調べずに開業するなんて、
なんの根拠もなく株式投資や為替取引をすることと同じです。
いや、パチンコや競馬競輪に人生を突っ込むことと同じくらいに愚かなことです。
「いや、自分の知っている先輩行政書士はそんな市場調査なんてしていなかったし・・・」
ですって?
確かに、その先輩は市場調査もせずに上手くいったのかもしれません。
でも、同じことをあなたができるのですか?って話ですよ。
再現性があるのですか?って話ですよ。
そもそも、その先輩が開業した時代ってAIなんてなかったですよね?
でも、今はAIがあります。
AIを使ってビジネスを展開するのが当たり前の時代に突入したのです。
AI時代以前のやり方が、今後も通用すると本気で思ってますか?
そんな意識の低さでは何をやってもダメですよ。
人間の能力では、どうやったってAIには勝てません。
つまり、AIを使わない行政書士はAIを使う行政書士には絶対に勝てないのです。
そもそも開業の時点でAIを使った市場調査すらしなければ、その時点で負け戦決定です。
最初はたまたまうまく滑り出す人もいるかもしれませんが、
これからAIを駆使して開業してくる新人行政書士にあっという間に抜き去られます。
これが現実です。
生き残りたいのであれば、AIを使いましょう。
取扱業務に関するキヨシの考え方
最後に、取扱業務の決定に関する私の考え方を話したいと思います。
冒頭でも書きましたが、
開業当初は行政書士の基本業務の全てを取り扱うことを私はお勧めします。
なぜなら、どんなに徹底的に市場調査をしたとしても不確定要素の変動は予測できないからです。
収入の柱が1本しかない場合、その1本が折れてしまったら事業を継続できなくなるからです。
だから、柱は多いほうが良いのです。
なので、これから開業する新人の皆さんは、基本業務の全てを取り扱いましょう。
新人は仕事を選ばず、目の前にチャンスが来たら、その全てを掴みに行く。
全ての仕事に対して全力で向き合い、誠実にこなす。
これを数年間続けていけば、売り上げが伸びてくる業種が出てきます。
特定の業務についての人脈、信用が積み重なっていくのです。
その域に達したら、売り上げが少ない業種は切り捨て、
売り上げが伸びている複数の業務に特化していく。
勝てる戦場を見つけて、そこに全てのリソースをつぎ込んでいく(ランチェスター戦略)。
そして、太い柱が3本くらい立つ事務所として戦っていくのです。
このやり方が一番リスクの少ない起業法だと考えています。
詳しくは「新人行政書士の取扱業務の決め方」を参照してください。
まとめ
【市場調査で確認すべきは以下の2点】
@需要のある市場か?
A競合士業の中で上位2割に入れるか?
【市場調査の具体的方法】
@需要の有無→「Genspark」を使う
A競合士業→「ラッコキーワード」を使う
市場調査もせずに開業するのは、愚かなギャンブルです。
不確定要素は予測できなくても、現時点の確定要素は必ず調査しましょう。
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