独学か?予備校か?行政書士試験合格のための最適な学習法
【目次】
人は自分の経験からものを言う
独学で合格できるか?
予備校の講座を受けるべきか?
行政書士試験を始めるにあたって最初に悩む問題ですよね。
独学で合格した人は「独学で十分!」と言います。
講座を受けて合格した人は「講座を受けるべき!」と言います。
当然です。
誰でも自分の経験がベースになるものですから。
では、キヨシが出した結論は?
独学でいける人もいるが、大多数は講座を受けるのが吉
これが私の経験からでてくる結論です。
1本1本の木を見れば独学で合格している木もたくさんあります。
しかし、森を見れば大半の木が予備校卒の合格者です。
このページでは、数年間受験予備校で講師を務め多数の受験生を見てきたキヨシの経験に基づいた、キヨシの個人的な見解を述べさせていただきます。
なお、現在の私はどの受験予備校にも所属しておらず、この先も講師をする予定はありませんので、この記事の内容には一切の忖度がないことを先にお伝えしておきます。
独学で学ぶメリットとリスク
【独学で学ぶメリット】
@ 費用が安くて済む
A 学習時間が短くて済む
独学のメリットはこの二つですね。非常に魅力的なメリットです。
しかし、それは、実際に短期間で合格できた人だけが享受できるメリットです。
限られた人だけが得られるメリットです。
なお、かつては「自分の生活スタイルに合わせて勉強ができる」というメリットもありましたが、現在の受験指導校の講義の主流はオンライン授業で場所・時間を問わないので、このメリットは消滅しました。
【独学で学ぶリスク】
@ 全体像を把握してはじめて各論が理解できるという法律学特有の思考法ができず、いつまでたっても合格ラインに届かない
A スケジュール管理、カリキュラム構築ができず、かえって無駄な遠回りをしてしまう
独学で勉強したものの一回で合格できず、かえって費用も時間も無駄に費やしてしまった、という受験生が多数派であるという現実を知っておくべきです。
そこで、独学を考えている人は以下の点に注意してください。
費用が安く済むことを理由に独学を選択してはいけない
これはよく考えてもらったら当たり前のことなので、よく考えてください。
まず、独学とはいえ、教材を揃えるための投資は必要になります。
後で独学に必要な教材をお伝えしますが、それらを全てそろえるには大体2万円程度はかかります。
一方、受験予備校の講座は、予備校にもよりますが10万〜20万円くらいです。
つまり、独学との差があるとはいえ、それは最大で18万円程度です。
18万円
大学生が夏休みのバイトで稼げる程度の額です。
独学で一発合格できれば、大学生が夏休みのバイトで稼げる程度の額を節約できます。
では、1回で合格できなければ?
1000万円の損失です。
私はそのように考えます。
これを見てください。
行政書士の年商の統計です。
上位10%は年商1000万円越えです。
もちろん、初年度から1000万円を超える人はいませんが、開業して3〜4年でこのラインを超える行政書士は結構います。
あなたは、当然このラインを超えるつもりですよね?
そうでない人は、ここから先は読む必要はありません。
では、話を戻します。
もし、合格が1年遅れたら、行政書士として働ける時間が1年分減るということです。
働き盛りの期間が1年分減るということ。
つまり、生涯通じての売り上げが1000万円分減るのです。
このような発想には馴染みがないかもしれません。
でも、経営者としては、これが当たり前の発想です。
今がチャンス!!≠ニ思ったら、大金を借りてでもビジネスをスタートします。
時間、チャンスほど貴重なものはありませんからね。
どちらも、一度逃したら取り返すことはできません。
お金と違って、絶対に取り返せないのです。
だからビジネスを立ち上げる人間は、成功することを前提に投資をします。
18万円と1000万円
比べること自体がナンセンスですよね?
たかが18万円を節約するために独学を選択しよう、という発想は捨ててください。
そんな発想をもっていたら、仮に合格できたとしても経営者としての成功は難しくなります。
ここでビジネスの世界でよく言われる言葉をひとつ。
事業は経営者の器以上には大きくならない
18万円を出し惜しみする人間が成功すると思います?
では、次
学習時間が短くて済むから独学でいく
これは有りです。
おおいに有り。
同じ情報量でも、人の話を聞くよりテキストを読むほうが圧倒的に速いスピードで回すことができます。
3倍くらいは違うんじゃないでしょうか?
つまり、1時間の講座でも、それをテキストで回せば20分くらいですむということ。
1年かかるカリキュラムの講座でも、テキストなら4か月くらいで回せるということ。
ざっくり言えば、そんなイメージです。
そして、短い期間で合格することは善≠ナす。
勉強そのものに価値はありません。
合格して実務家になってお客様の悩みを解決してあげる。
ここまできて初めて価値が生まれるのです。
だから、価値のない受験期間は短ければ短いほうが良いのです。
しかも、現在の受験参考書類は非常によくできています。
各種予備校が様々な参考書類を出しているので選ぶのが大変ですが、ざっくりいえば以下のメニューをマスターすれば合格ラインは超えます。
- インプット用の参考書
- 肢別本
- 過去問(10年分)
- 行政書士試験用の六法
- 記述対策問題集
- 模擬試験
それから必須ではないですが、行政書士試験用の判例集があればいいかな、という程度。
これらを何回も回してほぼほぼ完ぺきに仕上げれば必ず合格できます。
これらを理解したうえで記憶すれば、行政書士試験の合格には必要十分です。
とはいえ・・・
逆に勉強期間が長期化する受験生のパターン
法律学特有の学習方法が難しい
上記の各書籍を理解・記憶するのはそう簡単なことではありません。
というのは、法律科目というのは、学生の頃に学んできた数学や英語などと違って積み上げ式の学習は通用しないからです。
中1数学→中2数学→中3数学→数1→数2→数3
というように教科書の1ページ目から順番に理解していけば合格に到達できるというものではないのです。
法律科目は次のように学習します。
まずは全体像をつかむ → それから各論を理解する
このステップを踏まなければ法律学は永遠に習得することはできません。
例えば、民法でいえば、一応学習する順番はあります。
民法総則→物権→担保物権→債権総論→債権各論
しかし、民法総則の教科書の1ページ目から順番に理解していけば民法総則をマスターできるかと言えば、そうではない。
民法総則をちゃんと理解するためには、物権と債権の理解が必要です。
そして、もちろん物権、債権を理解するためには民法総則の理解が必要です。
だから、勉強の第一ステップでは、民法全体の骨格を体系的に理解する。
そして、全体像の理解ができている前提で、民法総則、物権、債権の各論を理解していく。
という学習をしていかなければいけません。
では、独学でそれができるか?
これがなかなか難しい。
でも、予備校であれば、全体像を理解させたうえで、各論の理解を深めるという流れで学習を進めてくれます。
民法総則を学習する際にも必要に応じて物権、債権を含めた構造的な説明をしてくれます。
これは伊藤塾の塾長である伊藤真氏が始めた学習スタイルであり、今では法律学習の王道的なスタイルになっています。
しかし、これを独学でやるのはかなり難しい。
この問題があるから、法律学習は予備校講座からスタートしたほうが良いと私は思っています。
合格までのカリキュラムの自己作成、自己コントロールが難しい
また、前述したように行政書士試験に合格するためのやるべき書籍類は決まっています。
でも、種類が多い。類似の書籍がたくさんあります。
で、ここでダメなパターンをひとつ。
参考書の浮気です。
書店に行って資格試験コーナーで立ち読みして「あ、この参考書、良さそうだな〜」なんて浮気心がうずいて、つい手を出しちゃうパターン。
これをやると、確実に学習時間が無駄に増えていきます。
それから、YouTube動画。
近年は行政書士試験受験者用の講義動画がたくさんでています。
しかも、クオリティーが高いものが多い。すごくわかりやすい。
だから、ついつい見てしまうんですよ。
あれもいい、これもいい、なんてどんどん目移りしていきます。
さらにいえば、クオリティーの高いチャンネルはたくさんあるのですが、しかし、これだけ見れば全範囲を網羅している、というものはない。私が知る限りではない。
だから、結局はいろんな動画をつまみ食いし始めるのです。
無料で視聴できるので見放題です。
そして、その対価として貴重な時間を消費していきます。
こうやって沼にハマっていくわけです。
抜け出せなくなります。
こんなことをやっていると、試験日までに全体をマスターすることなんて到底できなくなるわけです。
これでは、試験合格までにどれだけ時間を費やすかわからない。
そして、毎年このタイプの受験生が大量に生まれます。
結局全範囲をマスターすることなく試験会場に負け戦をしにやってくる来る輩どもが。
上記したように、行政書士試験で合格するためにマスターすべき書籍は決まっています。
情報量としてはそれだけで十分だし、それ以外にまで手を出し始めるとキリがなくなります。
それなのに他に手を出してしまう、という人は、やっぱり独学には向いていないということです。
だったら、最初から覚悟を決めて受験予備校にお金を払って、それだけに集中したほうが圧倒的に良い訳です。
合格する可能性がはるかに高くなります。
結局、要するに、人間って自分で自分を管理することは苦手なのです。
ほとんどの人ができない。
地頭が良いか悪いかではなく、スケジュール管理が難しいのです。
自分で自分をきちんと管理できる人は、独学で最短ルートで合格というゴールにたどり着くことができるのでしょう。しかし、残念ながら多くの人はそうではない。私もできない。
そもそも合格したことがない受験生が、自分で合格するための最短のカリキュラムを組み立てようとすること自体に無理があります。
目的地に行ったことがない人間が想像で地図を描きながら走り出すようなもの。
無理があります。
それよりも、試験に合格し、なおかつ受験指導を生業とした専門家集団が組んだカリキュラムに乗ったほうが、当然ですがゴールに到達する可能性が高くなります。
到達までの時間が短くなります。
自分で走らずに、勝ち馬に乗れ
初めて走る人が最短ルートを走れますかね?
なのに自分で走り始める人がいる。
だから、結局独学では合格できず、2回目、3回目の受験で予備校講座を受け始める人がたくさんでてくるのです。
だったら、最初から予備校を利用して予備校のカリキュラムに従っていけばよかったんじゃね?となるわけです。
その方が結局は近道なのです。受験勉強の期間が短くて済むのです。
このような理由から「独学でいける人もいるが、大多数は講座を受けるのが吉」というのが私の結論になります。
自分は自己コントロールをきちんとできる人間だ、という自負がある人はとりあえずは独学でスタートしてもいいでしょう。
でも、気がついたら利用する書籍が増えだしたとか、YouTube動画をあさるようになってきた、なんていう状況になってきたら、すぐに路線を変更すべきです。
そして、強制的に進んでいく予備校講座に食らいついていきましょう。
結局はその方が早いと、私は思います。
以降のページで、予備校講座の選び方、そして、独学マニュアルを順にお伝えしていきます。
まとめ
独学で学ぶメリット
@費用が安くて済む
A学習時間が短くて済む
独学で学ぶリスク
@全体像を把握してはじめて各論が理解できるという法律学特有の思考法ができず、いつまでたっても合格ラインに届かない
Aスケジュール管理、カリキュラム管理ができず、かえって無駄な遠回りをしてしまう
結論
独学でいける人もいるが、大多数は講座を受けるのが吉
自己コントロールできるという自負がある人は独学で始めても良いですが、参考書の浮気を始めるようになったら予備校講座に切り替えましょう。
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