独学で行政書士試験に合格するテキストの選び方・スケジュール・勉強法
【目次】
「予備校講座」ではなく「独学」を選ぶ理由はただ一つ。
学習時間を短縮するため
これだけです。
「お金」を節約するためではなく、「貴重な時間」を節約するために独学を選ぶのです。
同じ情報量でも「人の話を聞く」より「テキストを読む」方が早く回せるから独学を選ぶのです。
なので、時短には徹底的にこだわってください。
独学で合格するための条件は二つ
@合格に必要最小限度の教材を選ぶ(自分に合ったものを選び、浮気をしない)
A合格に直結する学習スケジュールを組む(回り道をしない)
この2点ですね。
この2条件をクリアできる人は独学で合格できます。
「独学か?予備校か?行政書士試験合格のための最適な学習法」でも言いましたが、
独学で学ぶ最大のメリットは「学習期間が短くて済む」ということです。
しかし、上記の2条件を満たさない学習をしてしまうと、独学のメリットが失われます。
それどころか、何年たっても合格できないという悲惨な結果となりかねません。
独学だとナビゲーションがないわけですから、道を逸れてしまったら永遠にゴールに到達できなくなります。
なので、上記2条件は常に意識して受験勉強を進めてください。
特に、後から他の教材に手を出す、YouTube動画をあさり始める、といった兆候が出てきたらヤバいです。
細かいことが気になる人、合格という目的を忘れて知的好奇心で勉強してしまう人がこうなりがちなので、気をつけてください。
何か月前から始めたら合格できるか?合格に必要な勉強時間は?
よく聞かれる質問ですね。
一般的には合格に必要な学習時間は「1000時間」などとも言われています。
この「1000時間」を目安にすれば、勉強に当てられる一日の可処分時間で1000時間を割ると
何カ月前から受験勉強を始めればいいかがある程度わかります。
例えば、平日は2時間、土日は各5時間勉強できるとすれば、合格に必要な期間は約50週。
ざっくり1年かかるという計算になります。
しかし、現実的には「時間」で決まるものではありません。カップラーメンではありませんから。
その人がもっている集中力、体力、受験ノウハウ等によって大きく左右されます。
500時間以内で合格する人もいるし、何年たっても合格できない人もいます。
(先天的な能力だけで決まると言っているわけではありません。ノウハウはこれから知ることもできるし、集中力も意志によって高めることができます)
なので、「1000時間」というのは、目安にすらならないと私は思っています。
時間ではなくタスクの実行。
以下に記載するstep1〜5を実行すれば合格できます。
このタスクを実行するのに必要な時間が、あなたにとって必要な勉強時間ということになります。
大切なのは、「次の本試験で必ず合格する」と決めること。
そして、その決めごとを実現するために、今この瞬間から全力で取り組むこと。
だと思います。
独学の基本的なスケジュール設定
どの科目から始めるか?
法律学は複数科目を平行して学ぶよりも、1科目ごと集中して学ぶ方が効果的です。
なぜなら、「法律学は全体像を理解しないと各論の理解ができない」という性質を持っているからです。
なので、例えば民法を学習するのであれば、とりあえず民法全体をざっくりとで良いので一気に最後まで学ぶ方が習得しやすいのです。
以下で、独学の5ステップを解説しますが、最初は1科目ごとにstep1を終わらせ、全科目終了したら、次は1科目ごとにstep2をやりましょう。
つまり、例えば、まずは民法のstep1を終わらせる。
それが終わったら行政法のstep1
そして、全科目のstep1が終わったら、次は民法のstep2
というように。
なお、科目ごとの勉強の順番ですが、行政書士試験では行政法と民法がメインなので、この2科目を先にやることをお勧めします。
そして、おそらくは多くの人にとって民法の方がとっつきやすいと思いますので、民法→行政法の順で勉強を進めるのが良いかと思います。
各科目の独学の進め方(カリキュラム構築)
Step1 範囲を決めて「テキスト」を読む→その範囲の「肢別本」を解く
- これを最低3周回す
- つどつど条文を引くことを忘れずに
法律学は「全体像を把握しないと各論を理解できない」という性質があります。
なので、1周目はわからないことだらけとなるのは当たり前のこと。
細かいことは気にせずに、その法律の骨格を把握することに意識を置いて、とにかく早く1周目を回すことが重要。
ほとんどの肢が×になると思いますが、それでよし。
2周目、3周目で段階的に各論の理解を深めていけばよいです。
Step2 「過去問」を解いて「テキスト」に戻る
- これを最低3周回す
- つどつど条文を引いて確認する
- 疑問点や忘れた箇所が出てくる毎にテキストに戻って知識・理解の確認をする
- すべての選択肢を理解できなくても良い。細かいことにこだわって他の参考書や動画に手を出してはいけない。他の教材に手を出し始めるのは破滅への一歩。
step1肢別本→step2過去問
この順番でやる理由は、肢別本の方が一つ一つの肢だけに集中して学習できるので効率が良いからです。早く回せるからです。
そして、肢別本の肢は絶対に抑えるべき知識だからです。
肢別本の肢は最終的には全て正解できるようにしましょう。
過去問は、出題形式に慣れる、出題傾向を知る、合格に不要な知識も混ざっていることを知る、
という目的意識をもって取り組みましょう。
そして、過去問は全ての選択肢を理解・記憶できるまでには仕上げなくてもいいです。
合格に必要不可欠とはいえない選択肢も混ざっているので。
どの選択肢が必要か不要かの判断は、独学者には難しいとは思います。なので、とりあえず肢別本に出てきた知識は必要な知識と考えて理解・記憶するようにしましょう。そして、模擬試験で合格点を超えるようになったらOKという判断で良いかと思います。
Step3 「記述式問題集」を解く
- Step1,2の択一式対策で基本知識を固めた後で、取り組む
- 3周くらい回す
なお、詳しいことは後述しますが、ここは深追いしてはいけません。
Step4 定期的に「模擬試験」を受ける
- 8月、9月、10月に一回づつ受ける。点数を見て、現在の自分の学力と合格点との乖離を確認する。これが模擬試験を受ける最大の目的。
- 模試の結果を分析し、残された期間でどこに重点を置いて勉強をするかを判断する。優先順位を明確にする。
- 完璧は目指さない。とにかく合格点を超えることを目指す。
- 毎回本試験だと思って真剣に取り組む。試験前の準備も重要。前日何時に寝るか、当日の食事は何時に何を食べるかなどを決める。結果を出す人はそれまでの過程をルーチン化する。
- 3回の模擬試験を経験して、本番でどの科目から解くか、どの科目にどれだけ時間をかけるのかを決めていく(本番では、事前に決めたスケジュール通りに解いていく)。
- トイレに行くのかどうか、行くのであれば何時頃に行くのかを決める。
「勉強がある程度仕上がってから模試を受ける」という発想は受験に弱い人間の典型。
模試は健康診断です。
受けないと、どこが悪いのか、どう治療すべきか、わかりません。
なお、「step4」とはしていますが、Step1,2,3が終わってなくとも、8月、9月、10月に必ず受けてください。本番は11月と決まっています。模擬試験もそれに合わせて1か月前、2か月前、3か月前に必ず受けましょう。
Step5 直前1週間でこれまでの総復習(新しいことに手を出さない)
- 直前1週間でこれまで何度も間違えた問題、覚えられない事項、苦手分野の全てに目を通す
- その準備として、普段の学習の際に「仕分け」をしておく
これは通信講座で学習する場合にもあてはまることですが、独学の場合はなおさら重要なことになります。
直前1週間はゴールデンタイムです。
この時期に学習した内容は、試験本番で正確に、かつスピーディーに解答できます。
なので、直前期の1週間でこれまで何度も間違えた問題、覚えられない事項、苦手分野の全てに目を通しましょう。
そして、そのために、普段の学習の際に「仕分け」をしておく。
直前期に見直すべき情報に付箋を貼る、マーカーを塗る、バツ印をつけるなど、自分なりのやり方で仕分けをしておく。
なお、仕分けのために時間をかけ過ぎてはいけません。例えばノートにまとめる作業などは時間がかかるので極力避ける。作業と勉強は違う。
普段の学習はこの1週間の学習のための準備といってもいい。
それくらい直前1週間は重要です。半年前の1週間とは全く価値が違うのです。
step1〜5のまとめ
基本的にはこの5ステップを踏むことで合格点を超えることができるはず。
できないとすれば、無駄な書籍に手を出している、合格に必要のない「勉強らしき作業」に時間を費やしている、などの原因があるはず。
何度も言いますが、無駄な作業は絶対にしない。
これが独学で合格するための鉄則です。
何月から始めたとしても、上記5ステップを踏むことは必須です。
肢別本を1周回して合格、なんてことはよほどの天才でもない限りありえません。
だから、早く始めたほうが有利です。
1年前から始めた人は肢別本、過去問を3周と言わず、何度も何度も回して正答率を上げていきましょう。
そして、どれだけ学習期間が長かろうと、どれだけ模擬試験の成績が良かろうと、直前1週間は気を引き締め直して集中してください。
ここで学習したことは、短期記憶であったとしても得点に直結します。なおかつ判断スピードがあがります。
行政書士試験合格に必要最小限度の教材の選び方
@テキスト
A肢別本
B過去問
C六法
D記述式問題集
E模擬試験
それから、人によっては「F行政書士試験用の判例集」があったほうが良いのかな、という程度。
上記以外の教材は不要であり、手を出してはいけません。
とても大切なことなので、もう一度言います。
上記以外の教材は不要です
絶対に手をだしてはいけません
(1)テキスト、肢別本、過去問
@テキスト
A肢別本
B過去問
この3つがセット。
テキストや過去問は各種予備校が出版しているので、どれを選べばよいか悩むところですが、
有名予備校の書籍であればどれでもいいです。
情報量として変わりません。わかりやすさも変わりません。
「講義」であれば伊藤塾が頭一つ抜きんでているかな、とは思いますが、
「独学用テキスト」のクオリティーはどの予備校も高いです。
ちゃんと使いこなせばどれを使っても合格できます。ちゃんとやればね。
ただ、この3つは同じ予備校の本で統一すべきです。
テキストと問題集がリンクしているので、問題からテキストへのフィードバックがすばやくできる。
あえて別々の予備校のものを選ぶ理由はないと思います。
問題集からテキストに戻る時に該当箇所をいちいち探す作業がどれだけ無駄なことか!
どれだけ無駄なことか!!
時短!!時短!!
で、私がお勧めする予備校本は以下の2つ(Amazonリンクで紹介します)
早稲田経営出版社(合格革命2025)
テキスト | 肢別本 | 過去問 |
---|---|---|
LEC(出る順2025)
テキスト | 肢別本 | 過去問(法令科目) | 過去問(一般知識) |
---|---|---|---|
(独り言)
どれでもいい、と言いましたが・・・現時点では「LEC」のほうが良いかも。
受験生の間でもLEC派が増えているような気がします。
以前は合格革命の「肢別本」が必須だったので、早稲田経営出版を使っている人が多い印象でした。
しかし、2022年についにLECから肢別本が出版されたこと、過去問集はLECの方が問題数が多いことから、今後はLEC派が増えるような気がします。
なお、法律系資格試験予備校のトップといっていい「伊藤塾」のテキスト類はここでは紹介しません。
理由は「肢別本」がないからです。それだけです(厳密に言えばありますが、それは「肢別完成問題集重要ポイントマスター講義」の中で使用される「肢別本」)。
伊藤塾のテキスト。私は好きです。わかりやすい。
でも、「肢別本」がない。「肢別本」と「テキスト」はリンクしていないと勉強効率が非常に悪くなる。なので、「伊藤塾」の書籍類は紹介しません。
補足
どの予備校の本でも変わらない、といいました。
しかし、受験生の中にはレイアウト、フォントなどの好き嫌いがある人もいるようです。
私の個人的な考えだと「慣れたらどれも一緒」「自分から寄せていけ」となりますが、
どうしても気になる人は、実際に書店に行って手に取って見てから選んでください。
あるいは、勉強スタート時点で複数の予備校のテキストを実際に使ってみる。
つまり二股をかける。そして、自分に合っていると感じたほうを選ぶ、もあり。
最悪なのは、しばらく使ってみて、やっぱり合わないといって他のテキストに手を出すこと。
これをやったら確実に勉強期間が無駄に伸びます。合格から遠のきます。
結婚してからの浮気はダメ。
最初に二股をかけて実際に付き合ってみて、早い段階で自分にあったほうを選ぶのは良し。
ええ、わかってますよ。ものすごく不適切な表現を使っていることは。
でも、こう考えるのが私としては一番しっくりくるのです。
(2)六法
行政書士試験用に使う六法にはざっくり2種類あります。
それぞれ、使う目的があります。
@は必須。
Aはキヨシ的には絶賛おすすめ中!という六法。
@「別冊六法」の目的→条文の体系を頭に刷り込む
法律初学者にとっては、まずは条文の構造を頭に入れる必要があります。
特に民法などは1000を超える数の条文がありますが、それらは意味を持って体系づけられています。
一般的ルール→各論的ルール、抽象的ルール→具体的ルールという構造になっています(パンデクテン方式)。
なので、まずは条文だけが体系通りに列挙されたコンパクトな六法を何度も何度も引いて、
その体系をイメージとして視覚的に頭に刷り込む必要があります。
学習の際に、条文が出てくるごとに別冊六法を引く。何度も何度も同じ条文に出会う。
その都度、その法律全体の中での位置づけを確認する。
そうやって、条文の構造を頭に刷り込んでいくのです。
これは法律学を習得するための必須の作業と思ってください。
A「行政書士試験六法」の目的→試験合格のための情報を一元整理するため
「行政書士試験六法」
行政書士試験の法律科目の情報は、条文、判例、過去問です。
そして、この3つの情報の核は条文です。条文が骨格。
条文という骨格に判例、過去問の知識を肉付けしていくのです。
そして、Aの六法は条文ごとに試験で必要となる判例、過去問を整理してくれています。
そこで、各法律科目の条文の体系がざっくりと頭に入ったら、使用する六法を@からAに変えます。
つまり、日々の勉強で、条文を学習するごとにAの六法で条文を引く。
判例を学習するごとにAの六法で条文を引く。
過去問を学習するごとにAの六法で条文を引く。
これを繰り返すことで、常に条文・判例・過去問をリンクさせて頭に刷り込んでいくのです。
視覚的にこの3つの情報を頭に刷り込んでいきます。
「行政書士試験六法」は確かに分厚いです。
でも、ずっと使い込んでいると、何度も出てくる条文と、ほとんど出てこない条文があることがわかってきます。
アンダーラインや蛍光ペンや書き込みで賑やかになっている条文と、ほとんど読んでいない条文が視覚的に明らかになります。
こうやって使い込んだ六法は直前期に大活躍してくれるツールになります。
そう。
直前1週間にこの六法で総復習するのです。
常にこの六法にフィードバックするという学習スタイルで勉強をしていれば、それまでやった学習の効果が、全部この六法に詰まっているという仕組みになります。
つまり、直前1週間はこれだけを見ればいいという状況にできます。
そして、試験会場にもこの六法さえ持っていけば、試験開始直前ギリギリまで得点に直結する学習を継続することが可能となります。
この六法は分厚く、一見すると情報量が多く、とっつきにくいイメージがあるので、合格者の大半が使っているツールというわけではありません。
(肢別本などは合格者の大半が使っていますが、この六法はそうではない)
なので必須のツールというわけではありません。
しかし、私としては、この六法を使うと、条文を軸に判例と過去問の知識を効率的に吸収できる、そして、なにより直前期の勉強で大活躍する、これまでにやってきた学習の効果をもれなく試験会場に持っていくことができる、という素晴らしい結果が待っているので、絶賛おすすめ中です。
ただし、合うか合わないかは実際に使ってみないとわからない。
なので、この六法だけはとりあえず購入して実際に使ってみることを強くおすすめします。
(3)記述式問題集
「合格革命の記述式問題集」or「出る順の記述式問題集」
「合格革命」記述式問題集 | 「出る順」記述式問題集 |
---|---|
どちらか1冊を選んで最低3周は回す。
テキストと同じ予備校の問題集を選んでもらえればいいと思います。
なお、記述式問題対策として一番重要なことをいいます。
時間をかけるな
記述式は300点満点中の60点分の配点があります。結構大きいですよね。
しかし、受験政策的に言えば、法律初学者かつ独学者はここで点を稼ごうとは思わないほうが良い。
例えば、民法の記述式問題で確実に得点を取ろうと思ったら、条文の要件・効果を表面的に覚えるだけでは太刀打ちできない。法が想定する基本事例を念頭に置いて条文の制度趣旨を理解したうえで要件・効果を覚える。民法全体の中での使いどころを理解する。重要判例もセットで理解する。
というレベルにまで持ってこないと、得点源にすることは難しい。
独学で記述式のスキルをこのレベルにもってくるのは、ちょっとムリ。
しかも、択一と違って明確な答えはない。
採点基準も明確にはされていない(点数調整に使われている可能性もある)。
そういった意味でも、ここをあてにするのはあまりいい政策とはいえません。
なお、司法試験受験組、法科大学院生で行政書士試験を受ける人が多い。彼らにとっては、この記述式問題は容易です。
そんな彼らとわざわざこの難所で本気で争うのは、受験政策としてどうなんだろう?ということ。
ここは必要最小限度の勉強にとどめて、得点できたらラッキーくらいに思っておいたほうが良いです。
択一式の勉強で各条文の要件・効果・判例を正確に理解・記憶したうえで上記の記述式問題集を一冊しっかりとやり込めば、問題次第ではある程度点を稼げるかも知れない、というくらいの戦い方でいいと思います。
むしろ、司法試験受験組と対等に戦える基本知識(特に文章理解と業務関連法令)に時間をかけて確実に得点するという戦い方をすべき。
独学のメリットは勉強期間が短くて済むこと。
だとすれば、習得に時間がかかる記述式問題対策に比重を置くべきではない、ということ。
ここで点を稼ぎたいのであれば、しっかりと予備校の講座を受けて本格的に準備しましょうということです。
「独学」で臨むのであれば、択一式問題だけで180点に近い点数を取る(少なくとも170点を超える)という方針で勉強を進めていきましょう。
(4)模擬試験
模擬試験は必ず受けましょう。
できれば会場受験が一番良いのですが、会場の近くに住んでいない方も多いだろうし、
「独学で合格する」というコンセプトからすると、市販されている模擬試験でもいいでしょう。
以下の二つのどれかを買って解いてもらえれば良いと思います。
毎年多くの独学合格者が解いている模擬試験です。
「合格革命」直前予想模試 | 「出る順」直前予想模試 |
---|---|
【注意点】
- 本試験と同様に午後1時〜4時の時間帯で解く
- 家ではなく、図書館などを利用して解く
- 本試験の疑似体験として解く。少なくとも前日の夜から本番を想定して過ごす。何時に寝て何時に起きて食事のメニューや食事をとる時間などを決めてルーチン化する
(5)判例集
なお、人によっては以下の判例集を持っておいた方が良いかもしれません。
上述した合格革命や出る順のようなテキスト類にも行政書士試験合格に必要な判例はちゃんと載っています。
しかし、判例百選のようにがっつり解説しているわけではなく、事案と判旨を簡潔にまとめているだけです。
でも、判例によっては、事案を詳しく把握しないと、きちんと判旨を理解できない、何度回しても覚えられないといったこともあるかと思います。
そのようなことが続く人は、上記の判例集で、わかりにくい判例だけをチェックすると理解が進むと思います。
この判例集はとてもわかりやすく受験生の評判も良いので、判例学習で困っている人は持っておくと良いでしょう。
なお、インターネットで判例検索をするような行為は絶対にやめましょう。沼にはまっていくだけです。
判例に限ったことではありませんが、ネット上のコンテンツを教材に学習するという行為はあさっての方向に突き進むだけです。際限がありません。やめておきましょう。
【補足】令和6年度の「一般知識」から「基礎知識」への変更について
令和6年度から「一般知識」から「基礎知識」へと名称が変わります。
そして、試験内容も変わります。
改正の内容
【改正前】
@政治・経済・社会
A情報通信・個人情報保護
B文章理解
【改正後】
@政治・経済・社会
A業務関連法令
B情報通信・個人情報保護
C文章理解
つまり、Aの「業務関連法令」が追加されたということです。
具体的には、行政書士法の他、戸籍法、住民基本台帳法などが出題されると予想されます。
詳細は「一般財団法人・行政書士試験研究センター」が公表した「行政書士試験の施工に関する定めの一部改正について」をご確認ください。
受験生への影響
この改正は受験生にとっては対策を立てやすくなったと考えられます。
というのは、@「政治・経済・社会」は出題範囲があってないようなもの。
ちゃんと対策しようと思ったらキリがなくなってしまうという非常に厄介な分野です。
しかし、行政書士法等は、法律なので出題範囲が限定されています。
しかも、どれも、さほど条文の数は多くない。
なので、しっかり対策をすれば得点源になりえます。
行政書士試験の大きな落とし穴が「一般知識」での足切りでした。
司法試験受験生でさえ、法令科目だけで180点を超えているのに一般知識で足切りになって不合格になる人がいるくらいでした。
でも、今回の改正で、現実的な対策が困難な「政治・経済・社会」の出題数が減り、対策可能な行政書士法等の問題が出るので、これは朗報だと考えてください。
具体的な戦略と対策
戦略
まず最初に考えなければならないのが「足切り」を回避すること。
つまり、14問中6問以上確実に正解しなければいけない、ということです。
次に出題の内訳です
【改正前】
@政治・経済・社会 7〜8問
A情報通信・個人情報保護 3〜4問
B文章理解 3問
【改正後(予想)】
@政治・経済・社会 3〜4問
A業務関連法令 3〜4問
B情報通信・個人情報保護 3〜4問
C文章理解 3問
予想ですが、たぶん当たります。文章理解は3問です。
では、この内訳を前提として、どのようにして6問以上を確実に正解するか?
はい、「文章理解」で3問正解。
これはマストです。
改正前と一緒。
ここはちゃんと対策すれば確実に3問取れるので落としてはいけない。
次に、「業務関連法令と情報通信・個人情報保護」で6〜8問中確実に3問以上正解する。
つまり、正答率50%以上にする。
これも事前にちゃんと対策すれば、確実に超えることができます。
てか5問くらい解けるでしょ、って感じですね。
そして、「政治・経済・社会」は範囲があってないようなものだから捨てる。
改正前は7〜8問出題されていたので、さすがに捨てることはできませんでしたが、令和6年度から捨てることができます。
万歳!!
対策
文章理解
上記したように、3問正解がマストです。
でも、大丈夫。大学受験で現代国語の勉強をしていれば普通に解けます。
過去問を数年分解いてみてください。全問正解いけるはずです。
「わいは解けへんねん!バカにすな!!」
いや・・・ごめんなさい。
決してバカにしているわけではございません。
でも、文章理解で確実に3問正解できなければ「行政書士試験」への挑戦がギャンブルになってしまいます。
それは絶対に避けなければならない。
絶対に3問正解しなければならない。
なので、文章理解が苦手という人は「独学」というコンセプトに反してしまいますが、ここだけは予備校の講座を利用しましょう。
「知識」ではなく「解き方」をマスターしなければならないので、人から教えてもらうしかないと思います。
アガルートの「文章理解対策講座」が評判が良いようです。
この講座の利用を検討してみてください。
「業務関連法令」と「情報通信・個人情報保護」
上記で紹介した合格革命、出る順のテキスト、肢別本に「情報通信・個人情報保護」のみならず「業務関連法令」の解説、問題が掲載されているので、まずはそれを最低3周回して確実に理解・記憶し、そして、模擬試験で出題された問題を復習すれば、対策として十分でしょう。
なお、模擬試験に出題された事項は本試験にも結構出題されます。この分野に不安がある人は直前予想問題を2冊買い、2冊目は「一般知識」だけでも解いてみることをおすすめします。手を広げることにはなりますが、ここは足切りを避けるためにやむをえません。
「政治・経済・社会」
改正前は、捨てることができませんでした。
かと言って、法令科目と違って、「政治・経済・社会」の場合、過去問で出題された事項が繰り返し出題されることは基本的にありません。
そのため「公務員試験 速攻の時事」を解いて対策をしている受験生が結構いました。
わりと当たるようです。
しかし、令和6年からは出題数が3〜4問に減るはず。
対策せずとも、他の科目をちゃんと勉強すればいいんじゃないでしょうか?
今の自分が持っている知見と常識だけで解いて、1問正解できればラッキー、というスタンスでよろしいかと。
その他の独学をする上での注意点
毎日の記憶保持作業を怠るな
前のページで説明したように、独学の場合も「エビングハウスの忘却曲線」を意識して日々の学習を進めてください。
いや、むしろ独学の場合こそ強く意識すべきです。
浮気をするな
既に言いましたが、どの予備校の書籍でも変わりません。
一度決めたら合格まで浮気せずに一途に付き合ってください。
絶対に他の本に手をだしてはいけません。
YouTube動画で勉強するのもおすすめしません。
それでは、学習時間が無駄に長くなり、独学を選択する意味がなくなってしまいます。
クオリティの高い動画は多いですが、だからこそ迷います。
無料だからこそ、際限がなくなります。
どの動画を選ぶべきか、どの順番で視聴すべきか、というカリキュラム構築≠自分でしなければならなくなるのです。
でも、合格経験がないのにそんなことができる人はいない。沼にハマるだけです。
そもそも「人の話を聞く」よりも「テキストを読む」ほうが圧倒的に速いスピードで情報を処理できます。ここに独学の意味があるのです。
YouTube動画で勉強するのであれば独学のメリットがなくなります。
「無料」の動画を見ることで貴重な「時間」を浪費しているのです。
これはダメ!
「時間」こそが人生におけるもっとも価値があるリソースなのです。
「お金」を節約するために「時間」を使うというマインドでは経営者には向いていません。
それでも、他の教材に手を出す人、無料動画をあさり始める人がいます。
「他に手を出さないと、どうしてもわからない」という人はそもそも独学が向いていないのです。
というか、ほとんどの人は独学で勉強するよりもプロが作ったカリキュラムに乗って勉強したほうが早く合格できます。
他に手を出す、ということは回り道をしているということ。
その道は本当に合格につながる道なのですか?
地図も持たずに走り出しているのではないですか?
ということ。
「他に手を出さないと理解できない」という人は「自分は特別な人間ではなかった」というだけのことです。
その他大勢の合格者と同様に予備校講座での指導についていきましょう。
SNSで情報収集してはいけない
なお、X(旧ツイッター)などのSNSで情報収集をするのはやめましょう。
それは時間の浪費であり、そして、心のリソースを奪われます。
SNSで流れてくる情報なんてほとんどが価値の薄い情報、あるいはクソ情報です。
そんな価値のない情報の中から宝探しのようなことをしていては受験期間が無駄に伸びていくだけ。
しかも、精神衛生上よくないことが多い。
なので、少なくとも「行政書士試験向けの情報」を取得する手段としてSNSを利用するのはやめましょう。
情報収集するのであれば予備校が発信する情報一択です。予備校のSNSなら利用価値あり。
予備校はビジネスとして情報発信しているので、当然ですが専門家集団が選りすぐった価値の高い情報、そして鮮度の良い情報だけを発信しています。
間違った情報、価値の薄い情報を流していたら信用を無くして営業利益が下がりますから。
そこは責任もって発信しています。信頼できます。
どこの馬の骨が発しているかわからないような情報に振り回されるのはやめましょう。
現代は、長いコンテンツを避けてSNS等のshort情報だけで効率よく情報収集しようと考えている人もいるようですが、結局は薄っぺらい膨大なshort情報に溺れて時間を浪費しているだけです。
行政書士試験関連の重要な情報は全て予備校が収集しているので、彼らがまとめた情報だけに集中したほうが良い。
わざわざ自分で情報収集して、選別して、まとめて、なんて無駄な作業は要らないと思います。
そんなことは受験生が払った受講料から給料をもらっている予備校スタッフにやらせておけばいいのです。
直前1週間で総復習をせよ
上述したように、直前1週間は極めて重要な時期です。
この直前1週間で、これまでにやった全ての学習内容を復習しましょう。
そうすることで、これまでに学習した効果の全てを頭に入れた状態で試験本番に臨むことが可能になります。
なお「行政書士試験六法」を使う人は、この六法で情報の一元化をするように日々の学習を進めると良いでしょう。
本試験会場にも、この六法一冊を持っていけば、安心して本試験に臨めるはずです。
まとめ
民法→行政法→・・・ と一科目づつ集中して全体を回す
Step1 肢別本
Step2 過去問
Step3 記述式問題集
Step4 模擬試験
Step5 直前1週間の総復習
この5stepをこなせば合格できる
テキスト・問題集は自分に合ったものを選び、絶対に浮気をしない
⇒ホームページ作成マニュアル | ⇒ブログ作成マニュアル |
---|---|
⇒名刺作成マニュアル | ⇒職印作成の作法 |
---|---|
⇒書式 | ⇒実務講座 |
---|---|
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