「特定建設業許可」と「一般建設業許可」の区別

「特定建設業許可」と「一般建設業許可」の区別


【目次】

 

 

続きまして、「特定建設業許可」と「一般建設業許可」を説明します。

 

今から、どこをやるかわかってますよね?

 

 

1「国土交通大臣許可」か「知事許可」か

 

2「特定建設業許可」か「一般建設業許可」か ←ここです!!

 

3「法人の許可」か「個人の許可」か 

 

4「新規の許可」か「許可の更新」か「業種の追加許可」か

 

 

「特定建設業許可」と「一般建設業許可」の定義・区別基準

 

 

 

特定建設業許可」(建築業法第15条以下)とは、
発注者から直接建設工事を請け負う「元請」として、
一件の建設工事につき、その全ての下請契約の下請代金の合計額が4000万円以上
(ただし、建築一式工事については6000万円以上)
となる下請契約を締結して施工しようとする者が
受けなければならない許可をいいます。
建設業法第3条第1項第2号、建設業法施行令第2条)

 

 

 

一般建設業許可」(建築業法第5条以下)とは、
上記以外の場合、
すなわち元請けであっても、下請施工を行わず直営で施行する者
または一件の建設工事につき総額4000万円未満(建築一式については6000万円未満)の工事を
下請させて施行する者、あるいは下請として営業しようとする者が
受けなければならない許可をいいます。
(建設業法第3条第1項第1号)

 

 

* 金額は消費税込みの額です
* 金額は、下請1社ではなく、その工事1件について下請けに発注した金額の合計です。
*下請代金の額には元請負人が提供する材料等の価格は含みません(建設業許可事務ガイドライン【第3条関係】4)

 

 

ちょっとイメージしにくいですよね?

 

 

では、「特定」か「一般」かの検討手順をまとめてみましょう。
以下の順番で検討します。

 

 

 

(1)発注者から直接請け負う(元請)建設工事ではない場合→「一般
    ↓「元請」の場合
(2)その工事を下請けに出さない場合→「一般
    ↓下請に出す場合
(3)その工事が「建築一式工事」ではない→下請契約の金額が4000万円未満なら「一般
                     4000万円以上なら「特定
    ↓「建築一式工事」の場合
(4)下請契約の金額が6000万円未満なら「一般
           6000万円以上なら「特定

 

 

 

 

それでは具体例を使って、上記の手順に従って検討してみましょう。

 

 

   発注者→甲→乙→丙

 

 

発注者が甲建設会社に8000万円の鉄筋工事を依頼したとします。
そして、甲建設会社は下請業者乙に5000万円で下請けを依頼したとします。
さらに乙が丙に3000万円で下請けに出したとしましょう。

 

* この場合、甲を「元請」、乙を「第一次下請」、丙を「第二次下請」と言います。

 

 

 

 

では、甲、乙、丙が受けなければいけない許可が「特定」なのか「一般」なのかを
考えていきましょう。

 

* いずれも請負金額が500万円以上なので、
  許可が不要な「軽微な建設工事」にはあたりません。
  (建設業法第3条第1項但書、建設業法施行令第1条の2)

 

 

 

まず、乙と丙についてですが、
いずれも「元請」ではありませんので、
手順(1)により「一般」建設業許可を受けることになります。

 

 

次に、について検討します。

 

(1)まず、甲建設会社は「元請」にあたります。よって手順(2)を検討します。

 

(2)甲は乙に下請を依頼しています。よって手順(3)に進みます。

 

(3)甲が受注した工事は「鉄筋工事」であり「建築一式工事」ではありません。
   そして、乙との下請契約の金額は5000万円であり「4000万円」以上にあたります。

 

よって、甲が受けるべき許可は「特定」建設業許可ということになります。

 

 

 

特定建設業許可制度の趣旨

 

 

特定建設業許可は、下請業者の保護や工事の適正な施行確保のための制度です。
そのため、一般建設業許可よりも厳しい規制が課せられます。

 

 

具体的には、
後で見る「専任技術者」や「財産的基礎」の要件が格段と厳しくなります。

 

さらに
「指定建設業」における「専任技術者」はより高度な資格などを要求されることになります。

 

また、
施工体制台帳と施行体系図を工場現場ごとに作成しなければならない、
下請代金の支払い期日や支払い方法についての規制を課せられる、
下請業者の労賃不払いに対する立て替え払いをしなければならない等
一般建設業許可にはない規制があります。

 

 

新人の行政書士事務所に依頼される建設業許可申請は大抵は「一般建設業許可」です。
ですから、開業当初の時点において「特定建設業許可」の場合の特別の規制について
詳細な知識がなくとも良いと思います。
しかし、「一般」か「特定」かの判断を誤っては絶対にいけません
受けた仕事が「特定」に該当する可能性がないとは限りませんから。
ここはしっかりできるようにしておいてください。

 

 

 

その他の注意点

 

 

同一業種について「一般」と「特定」の両方の許可を受けることは認められません。
建設業許可事務ガイドライン【第3条関係】1(2))

 

 

また、「特定建設業許可」を受けた建設業者であっても、
請け負った建設工事をそのまま一括して他の業者に請け負わせる契約(一括下請契約)は、
禁止されています。
ただし、公共工事でなければ、
あらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合には一括下請契約も例外的に認められます。
建設業法22条、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第14条)

 

 

これらも覚えておいてください。
依頼者に説明しなければならない場合もありますから。

 

 

 

まとめ

 

 

(1)発注者から直接請け負う(元請)建設工事ではない場合→「一般
    ↓「元請」の場合
(2)その工事を下請けに出さない場合→「一般
    ↓下請に出す場合
(3)その工事が「建築一式工事」ではない→下請契約の金額が4000万円未満なら「一般
                    4000万円以上なら「特定
    ↓「建築一式工事」の場合
(4)下請契約の金額が6000万円未満なら「一般
           6000万円以上なら「特定

 

 

 

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