建設業許可の六大要件:許可取得を阻む「6つの壁」の全体像

建設業許可の六大要件:許可取得を阻む「6つの壁」の全体像

 

 

 

建設業許可を取得するためには、建設業法が定める厳格な基準をすべてクリアしなければなりません。

 

かつては「五大要件」と呼ばれることが一般的でしたが、令和2年の法改正により社会保険への加入が義務化されたことで、実務上は「六大要件」として把握することが不可欠となっています。

 

本記事では、令和7年(2025年)12月12日施行の改正法の内容を踏まえ、行政書士が受任可否を判断する際に絶対に見落としてはならない「6つの壁」の全体像を解説します。

 

 

建設業許可要件の法的構造

 

 

許可要件は、一般建設業(建設業法第7条)および特定建設業(建設業法第15条)において、相互に関連し合う形で規定されています。

 

これらは「一つでも欠ければ許可は下りない」絶対的な基準です。

 

【六大要件の概要】

 

@ 経営管理能力(建設業法第7条、施行規則第7条第1号)
組織として適切な経営体制を備えているか

 

A 社会保険加入(建設業法第7条、施行規則第7条第2号)
適切な公的保険に適法に加入しているか

 

B 専任技術者(建設業法第7条第2号、同法15条第2号)
営業所ごとに常勤の技術責任者を配置しているか

 

C 誠実性(建設業法第7条第3号、同法第15条第1号)
請負契約において詐欺や不正を行う恐れがないか

 

D 財産的基礎(建設業法第7条第4号、同法第15条第3号)
工事を遂行するに足りる資金力や信用があるか

 

E 欠格要件(建設業法第8条、同法第17条)
法律違反や暴力団関係者など、不適当な事由がないか

 

 

繰り返しますが、これらの要件を全て満たさなければ許可を受けることはできません。

 

なお、その判断には時間を要するケースもあります。
特に難しいのが@経営管理能力とA専任技術者の要件です。

 

しかし、お客様としては、
自分が希望する許可が取れるのかどうかを早急に知りたいわけです。
なので、できるだけ早く要件該当性を判断し、
許可を取れそうか否かを回答しなければいけません。

 

 

そして、仮に許可が取れないと判断した場合には、
要件のうちのどれが欠けているのか、
そして、どうすればその要件を満たすことができるのか等を
具体的に指摘してあげなければいけません。

 

ここのアドバイスをお客様が納得できるようにしっかりできれば、
次の仕事につながります。

 

 

また、許可が取れると判断した場合は、もちろんその旨をお客様に伝えます。
そして「取れる」と言った以上、絶対に取らなければいけません。
ここで失敗したら、行政書士としての信頼を失うだけでなく、
損害賠償を請求される恐れだってあるのです。

 

お客様は基本的に「行政書士に依頼したのだから許可は当然に取れる」と思っています。
新人であっても関係ありません。失敗したら大変なのです。

 

 

ですから、そこの判断を誤らないためにも、
許可の要件については熟知しておかなければいけないのです。

 

 

六大要件の詳細分析と実務のポイント

 

 

@ 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力(法第7条、規則第7条第1号)

 

 

かつて「経営業務の管理責任者(経管)」という個人の資質が問われていた要件は、令和2年の改正以降、「組織としての経営管理能力」を問う形式に変更されました。

 

しかし、実務上は依然として常勤役員等の過去の経営経験期間(原則5年以上)が審査の中核となります。

 

実務のインサイト
令和7年現在、M&A後の新体制などで「役員経験2年+補佐者3名」といったチーム体制での申請(ロ・ルート)も可能ですが、証明書類の難易度は格段に上がります。
慎重な事前準備が必要です。

 

 

A 社会保険への加入(法第7条、規則第7条第2号)

 

 

健康保険、厚生年金保険、雇用保険への加入が許可の必須要件です。

 

建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及により、現場入場時のチェックが自動化されつつあり、未加入業者は実質的に現場から排除されるリスクが高まっています。

 

 

B 専任技術者の配置(法第7条第2号 / 第15条第2号)

 

 

各営業所に、その業種の専門技術を持つ「専任技術者(センギ)」を常勤させる必要があります。

 

一般建設業では10年の実務経験でも認められますが、その裏付け(契約書や通帳コピー)を120ヶ月分揃える作業は、行政書士実務の中で最も過酷な業務の一つです。

 

特定建設業では、原則として1級国家資格者が必要となります。

 

 

C 誠実性(法第7条第3号 / 第15条第1号)

 

 

 

申請者や役員、支店長などが、契約に関して詐欺、脅迫、横領などの不正行為、または契約違反などの不誠実な行為をする恐れがないことが求められます。

 

 

D 財産的基礎(法第7条第4号 / 第15条第3号)

  

 

建設工事は着工から完成まで多額の立替資金が発生するため、一定の財産的信用が必須です。

 

一般建設業許可
500万円以上の純資産、または残高証明書で立証します。

 

特定建設業許可
令和7年の改正により特定許可が必要な下請代金基準額が引き上げられましたが(建築一式8,000万円等)、財務要件(自己資本4,000万円以上等)は依然として非常に厳格です。

 

 

E 欠格要件(法第8条 / 第17条)

 

 

法に定める不適格事由(破産者、禁錮以上の刑、暴力団関係等)に一つでも該当する場合、許可は絶対に下りません。

 

要注意
納入した申請手数料は、欠格要件による不許可の場合でも返還されません。
申請前の入念な確認が不可欠です。

 

 

令和7年改正法が要件判断に与える影響

 

 

2025年(令和7年)2月1日施行の改正法は、インフレーションによる経済実態の変化を法制度に反映させたものです。

 

特定建設業許可の基準額が引き上げられた(建築一式:8,000万円以上、その他:5,000万円以上)ことで、「一般許可でも対応できる工事」の幅が広がりました

 

新人行政書士の先生は、クライアントに対し「どの要件が最もネックになるか」を早期に見極める必要があります。

 

特に、資材高騰の影響で「C 財産的基礎」の維持が難しくなっている企業には、改正後の新基準を踏まえた「一般建設業への切り替え(降格)」を提案するなど、コンサルティング要素の強いアドバイスが求められています。

 

 

まとめ

 

 

建設業許可の六大要件は、一つでも欠ければ許可が下りない絶対的な基準です。

 

令和2年の改正により社会保険加入が必須となり、令和7年の改正では特定許可の基準額が引き上げられました。

 

行政書士は各要件の実務的な難易度を正確に把握し、クライアントの受任可否判断と適切なコンサルティングを行うことが求められています。

 

特に「経営管理能力」「専任技術者」「財産的基礎」の3要件は証明書類の準備に時間がかかるため、早期の着手が成功の鍵となります。

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