建設業の種類の選択(28の業種区分)
建設業許可が必要と判断された場合、
次のステップとしてどの種類の建設業を選ぶかを検討しなければいけません。
まずは、手続全体における位置づけを確認しましょう。
許可の対象となる建設業の区分は
建築業法第2条第1項別表1条欄に定められています。
この表です
↓
2つの一式工事と26の専門工事があります。
あわせて28種類の建設業です。
もう少し詳しいものを見てみましょう。
→ここをクリックしてください。
28種類それぞれの建設業の内容と例示が記載されていますね。
この表を使いこなす必要があります。
(各都道府県が発行する「建設業許可申請等の手引き」に記載されています)
建設業許可申請業務を受注した場合には、
まずは依頼者のヒアリング内容と、この表の内容・例示を照らし合わせて、
どの建設業を選択するかを判断するのです(業種区分の選択)。
なお、建設業許可申請の相談をしてくる依頼者は、
全く白紙の状態で来るわけではなく、
ご自身で許可を取りたい業種を決めているのが通常です。
しかし、依頼者が希望する「工事」の種類と、
法令で定められている「工事」の種類とが
一致しない場合があります。
例えば、依頼者は「電気工事」の許可を取りたいと言っているが、
実際にその依頼者が行っているのは「菅工事」であったりすることがあります。
あるいは、依頼者は「内装工事」の許可を取りたいと言っているが、
実際にその業者が行っているのは「解体工事(とび・土木・コンクリート工事)」であったりすることもあります。
ですから、依頼者の話を鵜呑みにするのではなく、
具体的にどういった工事をしているのかを詳しく聞き取ったうえで、
行政書士であるあなたが「業種」を選択する必要があるのです。
なお、この時点で業種を確定的≠ノ選択できるわけではありません。
後で見ていきますが、許可をもらうためには5つの法定要件を満たさなければいけないのです。
すなわち、
「全ての要件を満たしている建設業」を選ばなければ
申請が無駄になってしまうのです。
そこで、
ある程度当たりを付けて「建設業」を決め、
その種の「建設業」の許可をもらうための要件を満たしているかを検討していく作業が
必要になってきます。
具体的には「建設業許可申請ヒアリングシート」「建設業許可要件チェックリスト」を使って
- 建設業許可を受けようとする業種
- 経営業務の管理責任者
- 専任技術者
- 誠実性
- 財産的基礎
- 欠格要件
の順にチェックしていくことになります。
では、次の頁にて、「許可」の種類の選択について見ていきます。
(なお、法定要件については、後ほど詳しく説明していきます)
まとめ
依頼者から十分にヒアリングをして
行政書士が許可申請をする「建設業」の種類を選択しなければならない。

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