「街の法律家」にふさわしい六法を
【目次】
開業前に法律の専門書を買い漁るべきではない、と前のページにてお伝えしました。
しかし、もちろん買っておかなければならない本もあります。
それは言うまでもなく六法
ちゃんと開業前に揃えておきましょう。
いや、厳密に言うと「事務所調査の前」に、ですね。
調査員の中には、登録申請をした者がちゃんとした六法≠持っているかどうかを
チェックされる方もおられるようですから。
ではちゃんとした六法≠ニはどんな六法か?
ちゃんとした六法
やっぱり「模範六法」でしょう。
行政書士も法律家なのですから。
重要法令のみならず、重要判例の知識を備えていることはプロとして当然のこと。
これは持っていないと恥ずかしいです。
あるいは「有斐閣判例六法」でも良いでしょう。
学生が使っている方じゃないですよ?
プロ用の二分冊になっている方(Professional)です。
外出時は必要な方だけ持っていけばいいので重宝します。
それから「六法全書」。これも必要です。
行政書士は「模範六法」「判例六法」に掲載されていない法令も扱います。
特に、行政書士の定番業務である建設業許可申請業務は
建設業法に精通していなければできません。
もちろん、
六法は毎年買い替えなければいけませんよ!
ところが買い替えない人がいるんですよ・・・。
法改正や新判例が関連する仕事を受任した場合、
規範が変わったことに気づかずに仕事をするんじゃないでしょうか?
同業者や他士業が見たら、「この人に仕事を回そう」なんて絶対に思わないでしょう。
依頼者だって、本棚に古い六法が並んでいたら不安になる人もいますよ。
そんなんだから仕事がないんです。
それから、
持っているだけじゃダメですよ!
日頃から十分に使い倒しておいてください。
依頼者の前で条文を引くときに、あたふたしているようじゃ話になりませんから。
(無料相談会に新人を参加させると、そういうことになりがちなのです)
自分の取扱業務でよく使う法律、条文、関連判例はササッと引けるように、
普段から使いこなしておきましょう。
それから、
「ポケット六法」の類は恥ずかしいので使わないようにしましょう
学生じゃないんですから。
それでも使いたいと言う人は、人目につかないように。
絶対に依頼者の目の前で使ったりしないでくださいね!
「行政書士」そのものがナメられますから。
ちゃんとした逐条解説
六法だけでなく、各業務ごとの根拠法令の逐条解説も必要ですね。
条文ごとに、関連する他法令・政省令・告示・通知などの主旨、解釈などを詳しく解説する網羅的な条文集です。
やはり、法律家にとって最も重要な拠り所が条文です。
例えば、建設業許可申請業務を取り扱う行政書士であれば、その根拠法たる建設業法については深く理解し、そして使えるように学習していなければなりません。
そのために、頻繁に利用するツールが「逐条解説」です。
以下、主要な業務の代表的な「逐条解説」をご紹介します。
その他、ご自身が取り扱う業務の逐条解説はちゃんと揃えておきましょう。
ちゃんとした法律家
なお、冒頭で「街の法律家」と言いましたが、
行政書士がこのキャッチフレーズを使うことに対しては
弁護士会からきついクレームがつけられています。
行政書士の業務は「法律」の正しい知識に基づいて行うものですから、
「法律家」と名乗って何らおかしくないはずです。
書類作成について相談に応ずることも行政書士の業務です(行政書士法第1条の3第1項第4号)。
つまり、書類作成に当たって従わなければならない法規の存在、仕組み、意味を依頼者に教授することも行政書士の法定業務なのです。
これは弁護士法72条で禁止されている「法律相談」にはあたらないのです。
しかし、それでも文句を言われてしまいます。
法律上何ら規制はないはずなのに、です。
ただ、残念なことに
法律の勉強が不十分な行政書士が少なからず存在するのも事実です。
お客さんの前で、あるいは他士業の前で、
法律知識の不十分さを露呈してしまう行政書士が一人でもいれば、
それだけで行政書士≠サのもののレベルが低いと思われてしまいます。
それが今の現実なのです。
なので、そういったことを今後一切なくして、
市民からも他士業からも、行政書士の専門性に信頼を持たれるように、
各自がしっかりと法律知識の習得に研鑽を積んでいきましょう。
もちろん私も含めて、です。
まとめ
ちゃんとした六法を開業前に、
いや、事務所調査の前に揃えましょう。
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