基本となる行政書士の名刺(開業後の人脈作りのための名刺)
【目次】
「行政書士が作る名刺の種類と目的」のページでお話ししましたように
「基本となる名刺」の目的は、
@行政書士となった自分を知ってもらうことと、
A人脈作りです。
配る対象は、主に@同業者である行政書士とA他士業の先生方、そしてB知人です。
記載する取扱業務は、基本的にあなたが取扱う予定の業務全てです。
同業者や他士業に名刺を配る理由が今ひとつわからないという新人の方もいると思います。
しかし、士業には絶対に名刺を配り、良好な人間関係を築かなければいけないのです。
とても重要な事なので、詳しく説明していきます。
同業者である行政書士に名刺を配る理由
その一 相談できる先輩行政書士を見つけるため
補助者を雇う行政書士事務所は極めて少ないのが現状です。
したがって、ほとんどの新人行政書士は、実務経験が全くないまま自分の事務所を開設します。
ということは、全く実務経験のない状態で、営業活動を開始することになるのです。
最初にどんな業務を受任できるかなんて、わかりません。
とにかく、依頼があればその仕事に食らいつくしかないのです。
そして、初めて経験する業務はわからないことだらけです。
いくら、専門書等で勉強していたとしても、です。
確かに、行政書士の仕事のほとんどは、手引書などで調べればやり方はわかります。
わかりますけど、実際にやってみると壁にぶち当たることがあります。
例えば、各種許認可の要件は法定されています。
しかし、実際の事例で要件に該当するかどうかを判断するのは、
新人にとって難しいケースもあるのです。
想像してみてください。
あなたはある許認可の仕事を受注しました。
着手金も受け取っています。
依頼者は、「行政書士」であるあなたが手続を完了させてくれると、当然のように思っています。
しかし・・・わからない
これでは、損害賠償責任を負う可能性すらあります。
こういうことを想像したら、怖くて営業自体ができなくなってしまいますよね?
実務を経験していないから営業ができない。
営業ができないから実務を経験できない。
こんな悪循環に陥っている新人行政書士は、実は少なくないのです。
しかし、頼りになる先輩行政書士がいれば、違ってきます。
何かあった時に相談できる行政書士が何人かいれば、
思い切って営業し、仕事を獲ってくることができるのです。
だからこそ、開業直後は仕事を獲得することだけでなく、
先輩行政書士との良好な関係を築くことを考えるべきなのです。
もちろん、一度会って名刺を渡しただけで、
簡単に相談に乗ってもらえるような関係を築くことなんてできません。
勉強会や懇談会などに何度も何度も何度も何度も参加して、
数多くの先輩行政書士にきちんと挨拶をして名刺を渡し続けるのです。
とにかく、たくさんの先輩行政書士に会い、会話をし、名刺を渡すという地道な努力を
続けてください。
そして、きちんと話をしてくださった先輩行政書士には、お礼のメールを送るなどして、
その後も良い関係が続くようなフォローをしてください。
(しつこくしてはいけませんよ。さりげなく、です)
そういう努力を続けているうちに、その中の何人かの先生と良い関係ができていくものです。
そして、そのためのツールとして、
あなたの存在を覚えてもらうための名刺を作成しておく必要があるのです。
なお、先輩行政書士とお付き合いするうえで肝に銘じておかなければならないことがあります。
それは、先輩行政書士を利用する≠ニいう気持ちでつき合ってはならない、ということです。
当たり前のことなのですが、
いざ自分が新人行政書士の立場になると、このことを忘れてしまいがちです。
例えば、何かわからない時にだけ先輩行政書士に電話して質問しまくる新人とか、結構います。
そういう態度では、先輩行政書士と良い関係など作れません。
助けてもらった時は、当然ですけど、感謝しなければいけません。
お世話になった先生にお菓子を持っていくとか、割の良い仕事を紹介するとか、
感謝の気持ちを形にするのです。
場合によっては、報酬の一部をお渡しすべきケースもあるでしょう。
もらったもの以上のものをお返しする。
そういう気持ちで先輩行政書士と接してください。
その二 仕事を回してもらうため
同業者である行政書士は、基本的に競争相手です。
ですが、良好な関係を築くことで、お互いに顧客を紹介し合う関係になることもあります。
同じ行政書士でも専門で扱っている業務はそれぞれ異なります。
なので、自分が普段取り扱っていない業務について依頼があった時には、
その業務を得意とする他の行政書士に仕事を回すということが、
行政書士間においては多く見られるのです。
ですから、
同業者といえども、できるだけ多くの行政書士と良好な関係を築いておくべきなのです。
親しくしている行政書士達から仕事が回ってくるケースは結構ありますから。
もちろん、実績のない新人の間は、仕事を回してもらえる可能性は少ないでしょう。
しかし、新人の頃からしっかりと同業者間での人脈を広げることを心がけてください。
将来仕事が回ってくるルートを今のうちから作っておくのです。
他士業の先生に名刺を配る理由
顧客を紹介し合うことは、
同業者間だけでなく、他士業との間でも良く行われます。
特に、行政書士の場合、
一人の顧客のニーズに対して、
自分だけ(行政書士の資格だけ)では応えられないことも多いのです。
例えば、会社設立の仕事を受任しても、登記に関しては司法書士に依頼しなければならない、
などです。
なので、
行政書士の資格だけでは解決できない問題についてスムーズに他士業に依頼できるように、
新人の頃から他士業との人脈を広げるよう努めなければいけません。
そして、他士業に仕事を回していると、
そのうち向こうから仕事を回してもらえるようになります。
特に、行政書士の独占業務である「許認可業務」は、あらゆる他士業から仕事が回ってきます。
基本的にビジネスは「ギブアンドテイク」です。
お互いに仕事を紹介し合えるように他士業との連携を強化していってください。
知人に名刺を配る理由
ズバリ、知人からお客さんを紹介してもらうためです。
知人に、あなたが行政書士として活動していることを知らせると、
知人に何かあった場合だけでなく、その知人の知人≠ノ何かあった場合に、
間接的に仕事を受けることがあります。
例えば、あなたの知人が500人いたとします。
そして、500人の知人に、それぞれ500人の知人がいたとします。
とすると、直接の知人500人に名刺を配るなどして、
あなたが行政書士であることと取扱業務を知ってもらうことで
500×500=250000人の人達が顧客となる可能性が生まれるのです。
人は「営業活動」に対しては警戒心を抱きますが、
「知人に紹介」された場合には、比較的簡単に信頼する傾向があります。
知人の知人≠ゥらは仕事を受注しやすいのです。
だからこそ、できるだけ多くの知人に、
あなたが行政書士として活動していることを知らせるべきなのです。
「基本となる名刺」の記載内容
表面
「全ての名刺に共通して記載すべき事項」でお話しした
9つの記載事項を入れてください。
裏面
基本的には、あなたが取り扱う予定の業務を全て記載してください。
そして、名刺を渡す相手は基本的に士業なので、
専門用語だけで業務を説明してもらって構いません。
なお、一般人に渡す名刺には、
できるだけ一般人にもわかる言葉で業務を説明してください。
例えば、
「公正証書作成」よりも「法的トラブルの発生予防のための書面作成(公正証書)」
「クーリングオフ」よりも「エステや結婚相手紹介サービス等の契約の解除」
です。
なお、例外的に、同業者や他士業にも業務特化型名刺を配るべき場合もあります。
例えば、あなたが申請取次の資格を持っていたとすれば、
申請取次の資格を持っていない行政書士に対しては申請取次に特化した名刺を渡す、などです。
交流会に参加した場合などに他の行政書士に実際に挨拶に行く前に、
その行政書士の取扱業務を親しい行政書士に事前に聞くなどして、
業務特化型名刺を配るべきかどうかを判断するのです。
臨機応変に、配るべき名刺を選択してください。
まとめ
同業者である行政書士に名刺を配る理由
@相談できる先輩行政書士を見つけるため
経験がない状態で仕事を受任すると、一人で解決できない問題にぶつかる時がある。
そんなときに相談できる先輩行政書士を見つけておく必要がある。
A仕事を回してもらうため
同じ行政書士でも取扱業務は異なる。
多くの行政書士とつながっていると、
他の行政書士が取り扱っていない業務を紹介してもらえることがある。
他士業の先生に名刺を配る理由
他士業から仕事が回ってくることは多い。
また、他士業に依頼しなければいけない仕事もある。
他士業との連携は必須。
知人に名刺を配る理由
知人からお客さんを紹介してもらうため。
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