行政書士法で職域を確認しよう!

行政書士法で職域を確認しよう!


【目次】

 

 

行政書士の職務範囲は「行政書士法」の第1条の2,3で規定されています。

 

見てみましょう。

 

(業務)
第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

 

第一条の三 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。
二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
三 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
四 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
2 前項第二号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。

 

 

ちょっと長いですね・・・(^^;)
簡単にまとめましょう。

 

 

@ 行政書士は官公署に提出する書類を作成し、提出する手続きについて代理することができる。(1条の2第1項、1条の3第1項第1号)

 

A 行政書士は権利義務または事実証明に関する書類を作成することできる(1条の2第1項)

 

B 行政書士は、契約その他の書類を代理人として作成できる(1条3第1項第3号)

 

C そして行政書士は上記書類作成について相談に応じることができる(1条3第1項第4号)

 

 

簡潔に言えば、こんなところです。

 

 

なお、「官公署に提出する書類」とは、主に許認可に関する書類です。

 

権利義務に関する書類」とは、具体的には、各種契約書、内容証明、示談書、遺産分割協議書、離婚協議書、定款などです。

 

事実証明に関する書類」とは、具体的には、各種議事録、会計帳簿、申述書、実地調査に基づく各種図面類、自動車登録事項証明書、交通事故調査報告書などの各種証明書などです。

 

 

 

行政書士法第1条の2,3の解釈

 

 

行政書士法第1条の2,3の文言解釈についての注意点を述べておきます。

 

 

かつては行政書士が行い得る職務は各種書類の提出手続の「代行」でした。
しかし、平成13年の法改正により提出手続の「代理」ができるようになりました。
具体的には、申請書の補正・訂正が必要となった場合に、
依頼者の印鑑を必要とせず、行政書士の職印で行うことができるようになったのです。
これにより、依頼者の手を煩わせることなく申請手続等をスムーズに行えるようになりました。

 

 

ただ、この「代理」権の範囲については解釈に争いがあります。
この点を十分に理解しないまま業務をしていたらトラブルになる危険があるのです。
この論点はまだ決着がついたわけではないようですが、
業務を開始する前に、しっかり勉強する必要があります。

 

 

なお、新人行政書士がグレーゾーンに立ち入るのは避けるべきです。大変危ないです。
なので、弁護士会が主張している見解、
すなわち、行政書士法が認める「代理」権とは、あくまでも書類の「作成」「提出」という限定された場面での代理権に限られるとの立場で職務を遂行してください(例えば、契約書の代理作成はしていいが、依頼者の代理人として契約を締結してはいけない、ということ)。

 

 

また、行政書士法1条の2、3の「官公署」の解釈にも注意が必要です。
具体的には「官公署」には法務局、裁判所、検察庁は含まれないとの見解が通説のようです。
ですので、民事事件の訴状等の作成を行政書士が行うことはできません。
しかし、警察署は「官公署」に含まれると解釈されています。
なので、警察署に提出する刑事告発状を行政書士が代理作成することは許されるようです。
だけど、検察庁は含まれないので、検察庁に提出する告訴状・告発状の作成はできません。

 

検察庁はダメだけど警察署は良くて、法務局はダメ・・・

 

なんだか解りにくいのですが、この辺りも一度しっかり勉強しておいてください。

 

 

なお、行政書士の職域を勉強するにあたっては
兼子仁先生の「行政書士法コンメンタール」は必ず読んでください。
これはもう行政書士にとってのバイブル≠ナす。
改定するたびに読むべき本です。
知識だけでなく、勇気ももらえます。

 

 

なお、職域の話をすると
「行政書士ができる業務って随分と限られてるな〜」と感じるかもしれません。

 

しかし、安心してください。
そんな事はありません。

 

「書類作成」の代理に限定されると言っても、その「書類」の数が非常に多いのです。
行政書士の独占業務である許認可の書類に限っても1万種類以上あると言われています。
仕事はあるのです。いくらでも。

 

 

他の士業とは争わず、自分の職域の中で活動しましょう。
他士業の縄張りを荒らしたり、あるいは他士業の活動にケチをつけるような
小さい士業≠ノなるのはやめましょう。

 

大切なのは、他士業の足を引っ張ることではなく、
顧客が抱えている問題を解決してあげることなのです。

 

正々堂々と職務を遂行し、社会に貢献しましょう。
そういう行政書士が増えれば増えるほど、行政書士の認知度、信頼度が増していきます。
そうなることが、行政書士にとっても社会にとっても望ましいことだと
私は信じています。

 

 

まとめ

 

 

行政書士の業務内容

 

@ 官公署に提出する書類の作成提出手続きの代理(行政書士法第1条の2第1項、1条の3第1項第1号)

 

A 行政書士は権利義務または事実証明に関する書類の作成(同法1条の2第1項)

 

B 契約その他の書類を代理人として作成(同法第1条3第1項第3号)

 

C 上記書類作成について相談に応じる(同法1条の3第1項第4号)

 

 

 

なお、「代理」の解釈については争いがあります。
他士業と揉め事にならないように、
行政書士法の解釈についてはしっかり勉強する必要があります。

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