職印、表札、保険(賠償責任補償制度)の斡旋
【目次】
単位会にもよるのですが、
行政書士会入会式の途中で、突然「営業マン」が現れます。
彼らは、印鑑、表札、保険の会社の営業マンです。
どういう経緯でその業者が現れるのか、どんな基準で選ばれたのかという説明は
行政書士会側からは一切ありません。
要は、右も左もわかっていない新人行政書士に、
行政書士の職印、行政書士事務所の表札・看板を斡旋し、
そして賠償責任の保険に入ってもらおうということです。
で、これに対して新人のあなたはどうすべきでしょうか?
行政書士会の斡旋ということで、
なんとなく、その場の雰囲気に流されて購入してしまう新人行政書士は多いようですが・・・
職印と表札は高い
まず、職印と表札ですが、やめておきましょう。
単位会毎に紹介する業者は違うでしょうが、
どれも高いです。高いに決まっています。
ネットで購入しましょう。
すでに別の頁でお話ししましたが、もっと安くて高品質の物がありますから。
(と言いますか、職印に関しては行政書士会入会式の前に作成しておくべきなのです。
すでにお話ししましたように・・・)
保険に入ったら安心か?
問題は、保険です。
ここで斡旋されるのは、
行政書士が業務遂行の際の過失によって依頼者等に損害賠償責任を負った場合の補償制度です。
保険の名称は「行政書士賠償責任補償制度」で、
引受保険会社は「損害保険ジャパン」です(取次代理店は「全行団」)。
同様の保険サービスが(現時点では)他社にはありません。
なので、検討すべきは「この保険に入るか否か」です。
そして、入るかどうかは各自で決めてください。
入った方が良いとは、私は勧めません。
その理由は
「保険に入ったからといって、全然安心できない」
からです。
この保険には細かい条項があり、全ての賠償問題が保険の対象になるわけではありません。
他の種類の保険と同様です。
しかし、私が「安心できない」と言っているのは、そこではありません。
保険で賄えるのは「金銭」の問題だけであり、
失った「信用」は保険では回復できない
ここが決定的に重大な問題なのです。
信用を失ったら廃業の危機です。
例えば、あなたが入札参加資格登録審査請求書の作成でミスをしてしまい、
顧客から1000万円の損賠賠償を請求されたとしましょう。
この賠償責任が、組んでいた保険プランの補償対象に含まれていれば、
補償限度額までの保険金が支払われることになります。
しかし、それで問題が解決されるわけではありません。
そもそも保険を使わなければならないような重大なミスをすれば、
行政書士としてのあなたの信用は著しく損なわれます。
どの業界も狭いです。
この手のミスをすれば、その噂が建設業界に流れていきます。
それだけではありません。
行政書士業界、あるいは他士業の間でも、あなたの悪評が流れるでしょう。
これまで多くの時間と資金を費やして築き上げてきた人脈が、音を立てて崩れていくのです。
そして、一度失った信頼を回復することは、難しいです。
新人がゼロから信頼を築き上げていくことよりもはるかに(というか、比較にならないくらいに)困難です。
ただでさえ競争が厳しいこの業界で生き残っていくことは、極めて難しくなるでしょう。
つまり、「保険に入ったからといって、全然安心できない」のです。
なので、失敗した後の保険を用意するだけでは全く意味がありません。
大事なことは「失敗をしない」ことなのです。
失敗しないために
失敗をしないためにするべきことは3つ。
@ 開業前からしっかり勉強して業務に精通しておく
A 困った時に助けてもらえる先輩行政書士、先輩他士業を作っておく
B 顧客情報を完璧に守る
です。
以上の3つのことを徹底的にやっておけば、
保険を使わなければならないような重大なミスをすることはありえません。
敵と戦わなければならない弁護士とは違って、
行政書士の場合、自分がミスしなければ賠償問題が生じることはないのです。
問題が生じた後のことを考えるのではなく、
問題が起きないようにやるべきことをやればいいのです。
私は、このような考えに基づき、保険には入っていません。
まとめ
職印と表札はネットで注文しましょう。
保険に入るかどうかは各自で検討してください。
しかし、保険に入ったとしても「信用」までは補償されません。
失敗したら廃業の危機なのです。
絶対失敗しないために、以下の3つは徹底的にやってください。
- 開業前からしっかり勉強して業務に精通しておく
- 困った時に助けてもらえる先輩行政書士、先輩他士業を作っておく
- 顧客情報を完璧に守る
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