請負契約に関する誠実性

請負契約に関して誠実性があること


【目次】

 

 

 

続きまして、建設業許可の3番目の法定要件である
請負契約に関して誠実性があること」(建設業法第7条第3号)
について説明していきます。

 

 

@ 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力があること

 

A 専任技術者が営業所ごとにいること

 

B 請負契約に関して誠実性があること ←ここです!!

 

C 請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用性を有していること

 

D 欠格要件に該当しないこと

 

 

 

なお、「誠実性」とは簡略化した言い方で、条文上の正確な表現は
不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと」(建設業法第7条第3号)です。

 

 

では、条文を見てみましょう。

 

(許可の基準)

第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 (省略)
二 (省略)
三 法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。

 

解説しましょう。

 

 

請負契約に関する「誠実性」の意味と対象者

 

 

不正な行為」とは、
請負契約の締結、履行の際に詐欺、脅迫、横領など法律に違反する行為をいいます。

 

不誠実な行為」とは、
工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為を
いいます。

 

*「建設業許可事務ガイドライン【7条関係】3」で定義づけされています

 

 

 

そして、請負契約に関してこういった行為をするおそれが明らかでないことを、
一言で「誠実性」と言います(略称ですよ)。

 

 

 

そして、この「誠実性」が以下の者に認められることが必要です。

 

法人」の場合→当該法人又はその役員もしくは政令で定める使用人

 

個人」の場合→その者又は政令で定める使用人

 

 

このような立場にいる人間が不誠実だと建設業法の目的である発注者保護が実現できないので許可は与えない、という趣旨です。

 

 

なお、「政令で定める使用人」とは、
建設業法施行令第3条に規定する使用人のことです。

 

すなわち、支店や支店に準ずる営業所の代表者のことで、
具体的には支店長、営業所長がこれにあたります。
個人の場合は、支配人登記をした支配人も含まれます。

 

 

誠実性の判断基準(建設業許可事務ガイドライン)

 

 

ところで、「おそれが明らかな者でない」という基準はちょっと抽象的すぎますよね?
判断が難しいと思われるかもしれません。

 

 

でも、はっきり言えば、
この「誠実性」の要件の審査は厳しくないです。

 

具体的に言うと、
建設業法、建築士法、宅地建物取引業法等で「不正」又は「不誠実な行為」を行ったことにより
免許等の取消処分を受けて5年を経過していない者などは、
誠実性がない者として許可を受けられません。

 

しかし、そういった事情がなければ、普通は認められます。
大抵の場合は、大丈夫です。

 

建設業許可事務ガイドライン【7条関係】3(2)(3)」をよく読んでおいてください。

 

 

まとめ

 

 

「誠実性」の要件の審査は厳しくない。
過去に免許取消などを受けていなければ良い。

 

 

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