建設業許可の五大要件

建設業許可の五大要件

 

ステップABにおいて、どの種類の建設業を選ぶかが決まったら、次のステップとして、
その種類の建設業許可の要件を満たしているかの検討に入ることになります。

 

まずは、手続全体における位置付けを確認しましょう。

 

 

 

(1) 依頼者と相談(打ち合わせ)

 

* チェックリスト等で要確認事項を隈なくチェックする

 

    ↓
(2) 検討作業

 

@ 建設業許可が必要なケースであるかを検討
    ↓ 必要な場合
A どの種類の建設業を選ぶかを検討(業種区分)
B どの種類の建設業許可に該当するかを検討(許可区分、般・特区分等)
C 要件(5つ)を満たしているかを検討 ←ここです!!

    ↓
(3) 申請書類の作成
    ↓
(4) 申請
    ↓
(5) 審査
    ↓
(6) 許可

 

* 知事許可→大体1〜2カ月
  大臣許可→大体3カ月

 

 

 

 

既に述べていますが、要件は5つです(建設業法第7条、第8条、第15条)

 

@ 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力があること

 

A 専任技術者が営業所ごとにいること

 

B 請負契約に関して誠実性があること

 

C 請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用性を有していること

 

D 欠格要件に該当しないこと

 

 

 

これらの要件を全て満たさなければ許可を受けることはできません。

 

 

なお、その判断には時間を要するケースもあります。
特に難しいのが@経営業務管理責任者とA専任技術者の要件です。

 

しかし、お客様としては、
自分が希望する許可が取れるのかどうかを早急に知りたいわけです。
なので、できるだけ早く要件該当性を判断し、
許可を取れそうか否かを回答しなければいけません。

 

 

 

そして、仮に許可が取れないと判断した場合には、
要件のうちのどれが欠けているのか、
そして、どうすればその要件を満たすことができるのか等を
具体的に指摘してあげなければいけません。

 

ここのアドバイスをお客様が納得できるようにしっかりできれば、
次の仕事につながります。

 

 

また、許可が取れると判断した場合は、もちろんその旨をお客様に伝えます。
そして「取れる」と言った以上、絶対に取らなければいけません。
ここで失敗したら、行政書士としての信頼を失うだけでなく、
損害賠償を請求される恐れだってあるのです。

 

お客様は基本的に「行政書士に依頼したのだから許可は当然に取れる」と思っています。
新人であっても関係ありません。失敗したら大変なのです。

 

 

ですから、そこの判断を誤らないためにも、
許可の要件については熟知しておかなければいけないのです。

 

 

それでは、次のページ以降で五大要件を一つ一つ見ていきます。

 

 

なお、これらの要件は、許可を「取得」するためだけではなく、許可を「維持」するための要件でもあります。つまり、許可取得後にいずれかの要件を欠いてしまうと、許可が取り消されることになります。

 

 

まとめ

 

 

五大要件該当性を正確に判断し、
建設業許可を受けられるかどうかを
できるだけ早く依頼者にお伝えできるようにしましょう。

 

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

ホームページ作成マニュアル ブログ作成マニュアル
名刺作成マニュアル 職印作成の作法
書式 実務講座

関連ページ

建設業許可申請業務のススメ
建設業許可申請業務のメリットは継続性です。5年ごとの許可更新、事業年度終了ごとの変更届(事業報告)、指名入札参加のための「経営事項審査申請」等、定期的に仕事が発生します。行政書士事務所経営の安定化を図るためにも、得意にすべき業務です。
建設業許可申請業務の流れ(手続の全体像)
建設業許可申請業務を覚えるためには、まず全体像をざっくりと把握する必要があります。各ステップごとに細かな検討作業をすることになりますが、常に今やっていることは手続全体の中でどこに位置するのかを確認しながら仕事を進めてください。
建設業許可の必要性の判断
建設業営業には例外的に許可が不要な場合があるので(建設業法第3条第1項但書)、建設業許可申請の相談を受けたら依頼者の許可の必要性を判断します。なお、許可が不要であっても他の法律で登録や届出が必要な場合もあります。
許可の対象となる建設業の種類の選択(29の業種区分)
許可の対象となる建設業の区分は建築業法第2条第1項別表1条欄に定められている。2つの一式工事と26の専門工事。計28種類の建設業。この中から5つの法定要件を全て満たす建設業を行政書士が選択する。依頼者が決めるのではない。
建設業許可の該当性判断(許可の種類)
建設業の「許可」には、国土交通大臣許可、知事許可、特定建設業許可、一般建設業許可、法人の許可、個人の許可、新規の許可、許可の更新、業種の追加許可という種類があります。申請前にどの許可に該当するかを正確に判断しましょう。
「国土交通大臣許可」と「知事許可」(許可区分)
「国土交通大臣許可」と「知事許可」の違い、そして「営業所」の概念を正確に理解しておきましょう。なお、「知事許可」を受けた場合、営業所が同一の都道府県内にあれば良く、仕事自体は他府県で行うことも許されます。
「特定建設業許可」と「一般建設業許可」の区別
特定建設業(建設業法15条以下)は下請人保護のための制度で法令上特別の義務があります。依頼を受けた建設業許可申請が「一般建設業」か「特定建設業」かを正確に判断できるようにしましょう。
「法人の許可」と「個人の許可」
「法人の許可」の中でも特に難しいのが組合。指名入札の二重参加の脱法行為に利用される等の危険があるため、その審査は厳格になる。しかし、新人行政書士の事務所に依頼があるのは通常は「個人の許可」。これは難しくはない。
「新規の許可」「許可の更新」「業種の追加許可」の区別
「建設業許可」は「新規の許可」「許可の更新」「業種の追加許可」に分類されます。そして「新規の許可」には「許可換え新規」「般・特新規」を含みます。なお、許可の有効期限は5年です(建設業法第3条第3項)。行政書士の方から顧客に知らせましょう。
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力があること【令和2年建設業法改正の目玉】
建設業界の取引の安全を担保するための許可要件が「経営業務管理責任者」です。つまり許可を与えるにふさわしい過去の経験と役職を持つ者が人的要件として要求されます。ただし、高齢化した業界を維持させるために令和2年の改正でこの要件は緩和されています。
専任技術者(センギ)の要件
専任技術者と認められるには法定の条件(学歴、実務経験、資格)を満たし、それを証明することが必要です。各条件を定める建設業法、建設業法施行令、建設業法施行規則の条文、表を理解し、使えるようにしてください。
請負契約に関する誠実性
建設業法、建築士法、宅地建物取引業法等で「不正」又は「不誠実な行為」を行い免許等の取消処分を受けて5年を経過していない者などは「誠実性」(建設業法第7条第3号)の要件を欠き、建設業許可を受けられません。が、そういった過去がなければ認められます。
請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用性
一般建設業許可は財産的基礎又は金銭的信用性が要件となります(500万円以上の自己資本額または資金調達能力)。特定は財産的基礎だけ(欠損の額が資本金の額の20%未満、流動比率が75%以上、資本金の額が2,000万円以上)です。
建設業許可の欠格要件【要注意!納入した申請手数料は返ってきません!】
申請者、申請書類毎に欠格事由があります。申請後に判断されるので欠格事由が判明し建設業許可を受けられなくても手数料は返還されません。なので申請前に行政書士が慎重に判断する必要があります。特に法人申請の場合の役員の犯罪歴は要注意。

ホーム RSS購読 サイトマップ
自己紹介 目次 登録申請まで 申請後〜開業前 営業 実務