「新規の許可」「許可の更新」「業種の追加許可」の区別

「新規の許可」「許可の更新」「業種の追加許可」の区別


【目次】

 

 

「建設業許可」は、
さらに「新規の許可」「許可の更新」「業種の追加許可」に分かれます。

 

 

1「国土交通大臣許可」か「知事許可」か

 

2「特定建設業許可」か「一般建設業許可」か

 

3「法人の許可」か「個人の許可」か 

 

4「新規の許可」か「許可の更新」か「業種の追加許可」か ←ここです!!

 

 

 

定義を確認しましょう。

 

 

新規の許可」とは、
  現在、有効な建設業許可を受けていない個人又は法人が受ける許可です。

 

許可の更新」とは、
  現在、有効な建設業許可を受けている個人又は法人が、
  5年の有効期間満了日以前の30日前までに受ける許可です。

 

業種の追加許可」とは、
  現在、建設業のある業種で許可を受けている個人又は法人が
  別の業種について受ける許可です。

 

 

では、それぞれの許可についての注意点を述べます。

 

 

「新規の許可」について

 

 

(1)許可換え新規

 

 

現在、有効な建設業許可を受けている個人又は法人が、
他の行政庁から新たに許可を受けようとする場合も
「新規の許可」が必要となります。
(これを「許可換え新規」といいます)

 

例えば、
知事許可を受けている業種を大臣許可に変えたい場合や、
A県知事許可を受けている業種をB県知事許可に変えたい場合などです。

 

 

(2)般・特新規

 

 

異なる業種で「特定」と「一般」を受ける場合も「新規の許可」が必要となります。
(これを「般・特新規」といいます)

 

例えば、
α業で「一般」の許可を受けている個人又は法人が、新たにβ業で「特定」の許可を受けたい場合、
α業で「特定」の許可を受けている個人又は法人が、新たにβ業で「一般」の許可を受けたい場合、
などです。

 

 

「個人事業主」から「法人」化した場合

 

 

個人で建設業を営んでいた者が法人化する場合、
「個人」で受けた許可は引き継がれません。

 

つまり、「法人」として
全ての許可を「新規の許可」として受けなければならないことになります。

 

しっかり覚えておいてください。
相談者から聞かれることも当然あります。

 

 

 

「許可の更新」について

 

 

期限について

 

 

許可の有効期限は、
許可があった日から5年目の許可日に対応する日の前日をもって満了となります。
建設業法第3条第3項)

 

そして、引き続き建設業を営もうとする個人又は法人は、
期間が満了する日の30日前までに更新手続をしなければいけません。
建設業法施行規則第5条)

 

更新しなければ、許可の効力は失効します。

 

 

なお、許可の有効期間の末日が行政庁の休日(土曜、日曜、祝日等)であっても、
同様の取扱いとなります。

 

*「建設業許可事務ガイドライン」に定められています。
  このガイドラインは重要なので、必ず目を通しておいてください。

 

 

また、期間が満了する日の30日前までに更新申請が受理されていれば、
有効期間の満了後であっても許可又は不許可の処分があるまでは、従前の許可が有効です。
(建設業法第3条第4項)

 

 

 

実務上の注意点

 

 

なお、更新の相談を受けた場合には、必ず許可の有効期限を確認してください。
「許可通知書」に記載されています。

 

 

また、新規許可の仕事を完了した顧客の有効期限が近づいてきたら、
こちらから(行政書士の方から)知らせてあげましょう。

 

当然ですよね?
こちらから行動を起こさないと、リピーターにはなってもらえません
すぐにライバルに取られてしまいますよ。

 

そして、「お知らせ」を欠かさないように、
顧客リストは日頃からきちんと整理しておきましょう。

 

 

 

「業種の追加許可」について

 

 

「業種の追加許可」とは、
例えば、「一般」で電気工事業の許可を受けているときに、
さらに「一般」で管工事業の許可を受けたいような場合です。

 

また、「特定」でガラス工事業の許可を受けているときに、
さらに「特定」で塗装工事業の許可を受けたいという場合などもそうです。

 

 

なお、「一般」で造園工事業の許可を受けているときに、
「特定」で建具工事業の許可を受けたいような場合は、
「業種の追加許可」ではなく「新規の許可」となります。
上述した「般・特新規」です。

 

 

 

まとめ

 

 

「新規の許可」と「業種の追加許可」は間違わないようにしましょう。

 

また、「許可の更新」は依頼を受けてからアクションを起こすのではなく、
行政書士の方から有効期限が近付いていることを顧客に知らせてあげましょう。

 

 

 

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